
「優待クロス=ノーリスクで優待がもらえる」
……そう思って始めた人ほど、 年末に口座を見て首をかしげることになる。
- 配当は入ってる
- 優待も届く
- でも、なぜか年間損益はマイナス
実はこれ、よくある勘違い。
原因は「税金の仕組み」にあります。
優待クロスは 👉 誰でも得する技じゃない 👉 “年間で譲渡益がある人”だけが使えるテクニック
今日はその理由を、 できるだけ噛み砕いて書きます。
そもそも優待クロスって何?(超ざっくり)
同じ銘柄を
- 現物で買う
- 信用で売る
こうして株価変動の影響を消し、 株主優待だけを取りに行く方法。
値動きリスクを抑えられるので、 一見「ほぼノーリスク」に見える。
でも―― 税金の仕組みを知らないと落とし穴がある。
配当金と配当落ち調整金の正体
まずここが超重要。
配当金
- 現物株を持っている人が受け取る
- 税引き後で入金(約20%引かれる)
配当落ち調整金
- 信用売りをしている人が支払う
- 税引きなしで満額支払い
- 税務上は「譲渡損」扱い
👉 税引前の金額は同じ 👉 手取りは一致しない
この時点では、 必ず配当分だけマイナスに見える。
年間利益が「ある人」の世界
ここからが本題。
年間で譲渡益がある場合
- 配当落ち調整金 → 譲渡損
- 他の株の利益 → 譲渡益
👉 同じ年の中で相殺される
つまり、
配当落ち調整金 × 約20%
= 払いすぎた税金として還付
結果として、
- 配当は実質プラマイ0
- コストは手数料や端数だけ
👉 優待がほぼタダで取れる
これが 「優待クロスはお得」と言われる理由。
年間損失が「ある人」の世界(ここ注意)
じゃあ、 年間で譲渡益がない人はどうなるか。
この場合
- 配当落ち調整金 → 相殺先がない
- 還付される税金 → ない
👉 調整金は100%実損
配当は税引き後で入るのに、 調整金は満額支払い。
これ、 普通に損する構造です。
「帳簿上の見栄え」が悪くなる理由
優待クロスを多用すると、 年間取引報告書はこうなりがち。
- 譲渡損益:マイナス
- 配当金:やたら多い
でもこれは 帳簿の分け方の問題。
- 配当金 → 配当所得
- 調整金 → 譲渡損
に分かれて表示されるだけ。
現金ベースでは
- 優待は取れている
- 税金も後で戻る(※利益がある人だけ)
という状態でも、 見た目は負けてるように見える。
結論:優待クロスは“条件付き”の技
ここまでをまとめると――
優待クロスが向いている人
- 年間で譲渡益がある
- 税金の相殺が効く
- 優待価値 > 手数料
優待クロスを避けた方がいい人
- 年間損失が出ている
- NISA口座しか使っていない
- 「配当は戻る」と思っている
最後に
優待クロスは 魔法でも裏ワザでもない。
あくまで、 税金の仕組みを使ったテクニック。
だからこそ、
優待クロスは“年間利益がある人”だけの特権
これは言い過ぎでも煽りでもなく、 事実に近い。
「なんとなくお得そう」でやると失敗する。
でも、 条件を理解した上で使えば、 これほど効率のいい優待取得方法もない。
――その分かれ目が、 「その年に譲渡益があるかどうか」。
ここだけは、 覚えておいて損はありません。
※補足:還付金はいつ戻ってくる?
優待クロスで発生した 配当落ち調整金による還付分は、
- 年内に即時戻るわけではなく
- 年末に年間損益を集計したあと
- 翌年の1〜2月ごろに
特定口座(源泉徴収あり)なら 👉 証券会社が自動で精算・還付
確定申告は基本的に不要です。
年末時点では一時的に 「損しているように見える」ことがありますが、 あとから帳尻が合うので慌てなくてOK。
優待クロスは「税金」だけでなく、
手数料が高いと一気に意味がなくなる取引です。
実は、優待クロスで「損した…」と感じる人の多くが、
一般信用と制度信用の違いをよく分からないまま
取引しています。
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