
優待クロスで株主優待をお得に手に入れるには、
一般信用の在庫を確保できるのが理想です。
しかし人気銘柄では競争が激しく、初日で在庫がなくなることも珍しくありません。
そうした場面で、
最終手段として制度信用を使った優待クロスを検討する人も多いのではないでしょうか。
実際、条件がうまく噛み合えば、
制度信用は一般信用よりも貸株料が安く、
より低コストで優待を取得できる可能性があります。
ただし、ここで必ず意識しなければならないのが
逆日歩です。
この逆日歩の仕組みを正しく理解しているかどうかで、
制度信用を使った優待クロスは
数百円で済む取引にも、数万円の損失にもなります。
では、
制度信用(逆日歩)で大損する人と、しない人の違いは何でしょうか。
その答えは、
✅ 日数の考え方
✅ 逆日歩の不確定要素
✅ 優待月ごとの需給の違い
この3つを理解しているかどうかです。
この記事では、
優待クロスで制度信用を使う際に
知らないと確実に損するポイントを、
ひとつずつ、できるだけシンプルに解説していきます。
第1章|優待クロスにおける制度信用のメリットとは?
制度信用と聞くと、
「逆日歩が付くから危険」
というイメージを持つ人も多いかもしれません。
たしかに、通常の空売り取引では、
制度信用は貸株料に加えて、
逆日歩という不確定なコストが発生する可能性があり、
リスクの高い取引と捉えられがちです。
しかし、優待クロスにおける制度信用は、使い方が大きく異なります。
制度信用での優待クロスは当日両建てが基本
優待クロスでは、
権利付き最終日に現物買いと信用売りを同時に行う
「当日両建て」が基本です。
一般信用での優待クロスのように、
何日も前から売りポジションを持ち続ける必要はありません。
そのため、
「逆日歩が何日分も積み上がる」という
通常の制度信用取引とは性質が異なります。
制度信用の貸株料は一般信用より安い
制度信用のもう一つの特徴は、
貸株料が一般信用よりも安いことです。
一般信用(短期)では、
多くの主要ネット証券で
年率3.90%前後の貸株料が適用されます。
一般信用の場合、
在庫を確保するために数日〜数週間前から
売り建てを行うケースも多く、
その分、貸株料がかさみがちです。
一方、
制度信用取引における貸株料(売建のコスト)は、
多くの主要ネット証券において
年率おおむね1.10%〜1.15%前後が一般的です。
(例)100万円分のクロス取引を1日行った場合:
- 一般信用(3.9%):約106円
- 制度信用(1.15%):約31円
→ 貸株料だけで見れば、制度信用は一般信用の「約3分の1」以下で済む。
さらに、制度信用を当日両建てで使う場合、
売りポジションを長期間保有しないため、
貸株料はごくわずかで済むケースがほとんどです。
このように見ると、
優待クロスにおいて制度信用は、
コスト面だけを見れば、
合理的な選択肢に見えるのも事実です。
第2章|制度信用(逆日歩)で大損する人・しない人の決定的な違いとは?
では、
制度信用(逆日歩)で
大損する人と、しない人の違いは何でしょうか。
答えはとてもシンプルです。
仕組みをきちんと理解しているかどうか。
それが最も大きな違いです。
優待クロスで制度信用を使う場合、
特に注意すべきポイントが 3つ あります。
これを知らずに制度信用を使うと、
数百円で済むはずの取引が、
簡単に数万円の損失へと変わります。
次の章からはまず、
その中でも最も見落とされやすい
「日数の考え方」から解説していきます。
第3章|決定的な違い① 逆日歩は受渡日で決まる(水曜日の謎)
結論から言います。
水曜日が権利付最終日の優待クロスでは、
逆日歩が「3日分」発生します。
「当日両建てだから1日分だけ」
そう思っていると、ここでズレます。
制度信用のコストは、
いつ売買したかではなく、
受渡日から受渡日までの期間で計算されるためです。
どうして水曜日だけ3日分の逆日歩になるのか?
なお、曜日によってコストが変わるのは逆日歩だけではありません。
貸株料も「権利付き最終日の曜日」によって大きく変わります。
その理由は、逆日歩が「受渡日ベース」で計算されるためです。
制度信用で売建した株のコストは、約定した日ではなく、売った株の受渡日から返済の受渡日までの期間で決まります。
具体的な流れを簡単に追ってみましょう(祝日なしの場合):
- 権利付最終日(約定日)
水曜日に現物買い+信用売りを同時に行う - 現渡し(返済)
権利落ち日の木曜日に現渡しを約定 - 受渡日ベースで日数を数える
- 新規建の受渡日:金曜日
- 返済の受渡日:月曜日
- 逆日歩は、金曜日・土曜日・日曜日の3日分として計上される
つまり、1日建てたつもりでも、土日を跨ぐため3日分の逆日歩が発生するわけです。
一方、権利付最終日が月・火・木・金の場合は、
受渡日の関係で逆日歩は1日分しか発生しません。
このため、水曜日クロスだけは特別に注意が必要です。
【権利付最終日の曜日と逆日歩日数】
| 権利付最終日 | 現渡しのタイミング | 新規受渡日 | 返済受渡日 | 逆日歩日数 |
|---|---|---|---|---|
| 月曜日 | 翌日(火)朝 | 水曜日 | 木曜日 | 1日分 (水曜の夜間金利) |
| 火曜日 | 翌日(水)朝 | 木曜日 | 金曜日 | 1日分 (木曜の夜間金利) |
| 水曜日 | 翌日(木)朝 | 金曜日 | 月曜日 | 3日分 (金・土・日) |
| 木曜日 | 翌日(金)朝 | 月曜日 | 火曜日 | 1日分 (月曜の夜間金利) |
| 金曜日 | 翌日(月)朝 | 火曜日 | 水曜日 | 1日分 (火曜の夜間金利) |
過去の逆日歩事例でリスクを知る
実際に制度信用で優待クロスをした場合、逆日歩は決して机上の話ではありません。
過去の銘柄を見てみると、次のような例があります
| 銘柄 | 権利付最終日 | 逆日歩単価 | 日数 | 支払額 |
|---|---|---|---|---|
| 日本管財HD | 2023/09/27(水) | 4.20円 | 3日分 | 100株 × 4.20 × 3 = 1,260円 |
| フジ日本 | 2023/09/27(水) | 28.80円 | 3日分 | 100株 × 28.8 × 3 = 8,640円 |
優待クロスで水曜日が権利付最終日の場合、逆日歩は3日分発生します。
大損しない人は、この仕組みを理解したうえで、
水曜日クロスでは制度信用を使うかどうかを慎重に判断します。
これが、水曜日クロスで大損するかしないかの決定的な違いです。
第4章|決定的な違い② 逆日歩は、権利落ち日まで確定しない?
優待クロスで制度信用を使う場合、
逆日歩は権利付最終日に発表されるわけではありません。
では、逆日歩はいつ確定するのでしょうか。
答えは、権利落ち日の翌営業日の夜間(受渡日ベース)にほぼ確定します。
最速で知りたい人は、権利落ち日の午前10時半すぎに日証金のHPをチェック
つまり、権利付最終日だけを見て安心するのは危険で、
最終的な逆日歩はこのタイミングまでわからないのです。
こちらのサイトで品貸料(逆日歩)情報が確認できます👉貸借取引情報
大損しない人はどうしているのか?
逆日歩が確定するのは権利落ち日の翌営業日。
では、制度信用で優待クロスをしても大損しない人は、どのように行動しているのでしょうか。
ポイントは 過去の逆日歩の傾向を確認して、リスクを想定すること です。
🔍 どう調べているのか
これらは、「逆日歩情報」「貸借取引情報」などとして公開されている履歴データから確認できます。
多くの銘柄について、
- 株不足はどうだったか
- どの日に逆日歩が付いたか
- 何円/日で付いたか
- 日数(1日、3日など)
が過去の履歴として載っています。
たとえば「IR BANK」のようなサイトでは、
各銘柄ごとに逆日歩の発生履歴を一覧で見ることができます。
大損しない人は、権利落ち日の翌営業日に逆日歩が確定することを前提に行動しています。
そして、過去の逆日歩の傾向を確認してリスクを想定し、必要に応じて制度信用を避けたり、クロス株数を調整したりしています。
つまり、逆日歩の仕組みと過去の履歴を理解しているかどうかが、大損するかしないかの決定的な違いになるのです。
第5章|決定的な違い③ 優待月ごとの需給の違いとは?
株主優待は1年の中で特定の月に集中して設定されることが多く、
3月・9月などを集中月と呼びます。
ここで注目すべきは、逆日歩のリスクが月ごとに変わることです。
- 集中月(3月・9月など)
- 優待を狙う投資家が多くても、株主優待の権利も多数の銘柄で分散されます。
- その結果、株の貸借需給は比較的バランスが取れ、高額な逆日歩はつきづらい傾向があります。
- 非集中月(その他の月)
- 優待銘柄が少なく、少数の株に需要が集中しやすいです。
- そのため、逆日歩が高くなりやすい場合があります。
💡 注意点
集中月であっても、人気銘柄には高額な逆日歩が付く可能性が高いです。
過去の逆日歩の傾向を調べることで、リスクが高いかどうかをある程度判断できます。
「一般信用なら安全」「一般信用(15日)なら安心」
そう思っていませんか?
実は、その数字にほとんど意味がないケースもあります。
こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ|優待クロスで大損しないために押さえるべき3つのポイント
【知らないと損する優待クロスの謎④】シリーズ、今回は制度信用の逆日歩に焦点を当てました。できるだけわかりやすく整理しました。参考になれば嬉しいです。
優待クロスで大損しないために押さえておきたい3つの決定的な違いは以下です。
- 日数のカウント方法
水曜日が権利付最終日の場合、逆日歩は3日分発生します。知らずにクロスすると大損するので要注意です。 - 逆日歩は権利落ち日まで確定しない
権利付最終日だけ見て安心せず、過去の逆日歩履歴を参考にリスクを想定しましょう。 - 優待月ごとの需給の違い
3月・9月の集中月は権利が分散されるため逆日歩リスクは比較的低めですが、人気銘柄では高額逆日歩もあり得ます。
初心者の頃、私は一般信用と制度信用の違いすらわからず、制度信用でバンバン優待クロスをして損をしていました💦
今でもたまにやらかしますが、それでも効率よくできるようになったと自負してます(笑)


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