
「5月に株を売れ(Sell in May)」
投資の世界で一度は耳にするこの格言。あなたも「本当に5月に売るべきなの?」「ただの迷信じゃないの?」と疑問に思っていませんか?
実は、この言葉には単なるアノマリー(経験則)を超えた、機関投資家の動きや税制に裏打ちされた「明確な理由」が隠されています。
もし、この仕組みを知らずに今のポートフォリオを持ち続けてしまうと、夏場にかけての「ジリ安相場」に巻き込まれ、せっかくの含み益を減らしてしまうかもしれません。
この記事では、
- ✔️なぜ「5月」というタイミングが特別なのか?
- ✔️プロの投資家たちが密かに行っている「3つの出口戦略」
- ✔️【2026年特有】の相場環境を踏まえた、今年の立ち回り方
を初心者の方にもわかりやすく解説します。
「Sell in May」の正体を知り、2026年の荒波を賢く乗り越えるための具体的なヒントを、今すぐチェックしていきましょう。
「Sell in May」の正体とは?:投資家が恐れる5月の壁

「5月になったら、持っている株をいったん手放したほうがいい……」
投資を始めたばかりの人なら、一度はこんな言葉を耳にしたことがあるかもしれません。これが世界で最も有名な相場格言の一つ、『Sell in May(5月に売れ)』です。
新緑がまぶしく、世の中がゴールデンウィークの活気に包まれる5月。しかし、投資の世界ではこの時期、ベテラン投資家たちが一斉にソワソワし始めます。彼らにとって5月とは、それまでの上昇ムードがパタッと止まり、利益が削り取られ始める「魔の季節」への入り口、いわば「5月の壁」として恐れられているのです。
そもそも「Sell in May」とは何か?
この格言には、実はあまり知られていない「続き」があります。
“Sell in May and go away, and don’t come back until St. Leger Day.”
(5月に売って去れ、そしてセント・レジャー・デイまで戻ってくるな)
※セント・レジャー・デイ:9月の第2土曜日にイギリスで開催される伝統的な競馬レースの日。
つまり、「5月に株を売って市場から離れたら、夏休みをたっぷり楽しんで、秋の競馬シーズンが始まるまで帰ってくるな」という、なんとも優雅(?)な教えなのです。
なぜ「壁」として意識されるのか?
「たかが昔の格言でしょ?」と侮るなかれ。この「Sell in May」が現代でも重要視されるのは、それが単なる迷信ではなく、「アノマリー(理論では説明できないが、なぜか高い確率で起こる現象)」として統計的に裏付けられているからです。
過去数十年の日経平均株価や米国のS&P500のデータを振り返ると、驚くべきことに「11月〜4月」の株価上昇率に対し、「5月〜10月」のパフォーマンスは著しく停滞するという傾向が何度も繰り返されてきました。
投資家たちは、この歴史的な「壁」にぶつかって資産を減らすのを避けるため、5月になると一斉に「守り」の姿勢に入るのです。
では、一体なぜ、毎年決まったように5月になると相場の流れが変わってしまうのでしょうか? その裏側には、単なる偶然では片付けられない「3つの正体」が隠されていました。
👤 ワンポイント解説:なぜ日本でも「Sell in May」が語られるのか?
「Sell in May」はもともと欧米発祥の格言ですが、実は日本株を動かす大きな要因にもなっています。
なぜなら、現在の日経平均株価を動かしている売買代金の約7割は「外国人投資家」が占めているからです。
たとえ日本国内に大きなニュースがなくても、欧米の投資家たちが季節的なリスク回避で一斉に資金を引き揚げれば、日本市場もその荒波に飲み込まれてしまいます。「海外発の季節性(アノマリー)」がダイレクトに波及する――これこそが、日本でも「5月の壁」が強く意識される真の理由なのです。
「5月に売れ」と言われる3つの本当の理由

— 市場から資金が抜けていく順番 —
なぜ世界中の投資家が5月になるとソワソワし始めるのか。そこには単なる「迷信」ではない、マーケットの構造上の理由が3つ隠されています。
① 米国の還付金マネーの一巡
一つ目の理由は、米国市場における個人マネーの動きです。米国では毎年4月15日が確定申告(タックスリターン)の期限。この時期、多くのアメリカ国民に多額の「税還付金」が戻ってきます。
この臨時ボーナスのような資金が4月にかけて株式市場へ流入し、相場を押し上げる一因となります。しかし、5月に入るとこの買い注文が一巡し、市場のエネルギーがふっと抜けてしまうのです。いわば「お祭り後の静けさ」が5月にやってくるというわけです。
② 機関投資家の「45日ルール」と利益確定
二つ目は、相場を動かす大口投資家(ヘッジファンドなど)の切実な事情です。多くのヘッジファンドは6月末に中間決算を迎えます。
ここで重要なのが「45日ルール」です。ファンドに出資している投資家が「6月末に解約したい」と考えた場合、45日前(つまり5月15日前後)までに解約を通知しなければなりません。ファンド側は返金用の現金を確保するため、5月中に保有株を売却する必要に迫られます。この「強制的な売り圧力」が5月の中旬に集中し、株価の重石となるのです。
※ファンドの条件は個別に異なりますが、このような事前通知期間を設けるケースが一般的です。
③ 夏枯れ相場(サマーラリー前の静けさ)
三つ目は、欧米投資家のライフスタイルに起因する「流動性の低下」です。欧米のエリート投資家たちは、6月後半から数週間にわたる長期休暇に入ります。
市場からプロの参加者が減ると、取引高が細る「夏枯れ相場」に突入します。参加者が少ない市場では、小さな売り注文でも価格が大きく飛びやすく、ボラティリティ(変動率)が高まるリスクがあります。「不安定な夏をノーポジションで過ごしたい」という心理が、5月のうちに株を売っておく動きを加速させるのです。
👤 現代では「5月の売り」が早まっている?
近年はこの「Sell in May」があまりに有名になりすぎたため、「5月に下がるなら、4月のうちに売っておこう」という先回りの動きが見られるようになっています。その結果、4月末に高値をつけ、5月にはすでに調整が始まっているケースも珍しくありません。
「格言通り5月に入ってから動く」のではなく、「5月の需給変化を予測して4月から準備する」。これが、現代の賢い投資家が実践している格言の活かし方です。
※もちろん、相場に絶対はありません。強気な経済指標やポジティブなサプライズがあれば、5月にさらなる一段高となる可能性も十分にあります。
【2026年版】今年の5月はどう動くべき?
「Sell in May(5月に売れ)」という古くからの格言。しかし、第2次トランプ政権の2年目、そして「ポスト・パウエル」へと向かう2026年のマーケットにおいて、この言葉を鵜呑みにするのはあまりに危険です。
2026年5月、投資家が直面する「3つの真実」から、今年の最適解を導き出します。
① 「ポスト・パウエル」への交代劇と市場の動揺
2026年5月、世界経済の羅針盤とも言えるFRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長が任期満了を迎えます。トランプ大統領による「より緩和的(低金利を好む)」な後任指名への期待と、中央銀行の独立性に対する不安が交錯するのが、まさにこの5月です。
- ✔️2026年の戦略: 議長交代に伴う一時的なボラティリティ(価格変動)が高まる可能性があります。5月前半に利益が出ている銘柄は一度「利食い」を進め、新体制の出方を見極めるためのキャッシュ比率を高めておくのが賢明かもしれません。
② 中間選挙に向けた「トランプ・トレード」の再点検
11月の中間選挙に向け、トランプ政権は支持率確保のために「関税強化」や「さらなる減税」のカードを切る可能性が意識されやすい時期です。これは一部の米国製造業には追い風ですが、輸入コスト増による「インフレ再燃」の懸念も孕んでいます。
- ✔️2026年の戦略: 「5月にすべて売る」のではなく、セクターの入れ替え(リバランス)に徹しましょう。高関税の影響を受ける多国籍企業から、内需型のアメリカ企業や、規制緩和の恩恵を受ける金融・エネルギーセクターへのシフトを検討すべきタイミングです。
③ 日本市場:「金利のある世界」での5月アノマリー
日本国内に目を向けると、日銀による段階的な利上げが定着し、2026年は「金利のある世界」が当たり前になっています。かつての「円安・株高」の方程式が崩れ、5月の決算発表では「円高耐性」と「自社株買い」の姿勢が厳しく問われます。
- ✔️2026年の戦略: 決算内容が期待に届かない銘柄は、5月のうちに冷酷に切り捨てるべきです。一方で、増配や株主還元に積極的な優良株は、夏場の調整局面で絶好の「押し目」となる展開が期待されます。
👤 2026年は「Sell in May」ではなく「Select in May」
今年の5月の正解は、市場から立ち去ること(Go away)ではないと考えます。
FRBの新体制発足と中間選挙という「歴史的転換点」を前に、「生き残る銘柄を厳選する(Select)」月にするのです。
「みんなが売るから売る」のではなく、不透明な夏を越えた先にある「年末の選挙ラリー(上昇相場)」を勝ち取るための、戦略的なポートフォリオ整理。これこそが、2026年版・賢者の立ち回りです。
まとめ
今回は、投資の格言「Sell in May(5月に売れ)」の真意と、2026年の戦略について解説しました。
最後にもう一度、この記事の重要ポイントを振り返りましょう。
- ✔️「Sell in May」の正体:単に売るだけでなく「9月まで市場を離れろ」という長期的なアノマリー。
- ✔️3つの本当の理由:米国の納税還付終了、ヘッジファンドの決算(45日ルール)、夏季休暇による市場の閑散。
- ✔️2026年の動き:過去のデータに縛られすぎず、保有銘柄の整理と「キャッシュ比率(現金)」の調整を優先すべき時期。
👤格言は「ルール」ではなく「天気予報」
僕自身、投資を始めたばかりの頃、この格言を信じすぎて5月に持ち株をすべて売却し、その後の「初夏のプチ上昇」を取りこぼして悔しい思いをした苦い経験があります。
長年株をやって気づいたのは、格言は絶対守るべき「ルール」ではなく、雨が降りそうだから傘を持つといった「天気予報」のように捉えるのが一番楽だということです。
最後に:投資に「絶対」はないからこそ
歴史を知ることで、5月の急な変動にもパニックにならず「あ、例のアレが来たな」と冷静に対処できるようになります。
皆さんもこの記事を参考に、自分なりの「5月の過ごし方」をぜひ見つけてみてください。
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📈 投資は「読む」より体験が近道
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