アンリツ(6754)の株価が2倍になった本当の理由|5Gブーム後に評価が変わったポイント

アンリツ株価2倍の理由を解説する男性と5G測定機器 株式投資
アンリツ株価2倍の理由を解説する男性と5G測定機器

5Gという言葉は、最近あまり聞かれなくなりました。

エリアは広がったと言われていますが、体感としては4Gと大きく変わらず
「5Gって結局何だったのか」と感じている人も多いでしょう。

ところが、その一方で――
アンリツの株価は、この数年で約2倍近くまで上昇しています。

不思議に思う人もいるかもしれません。
5Gが話題にならなくなったのに、なぜ5G関連とされていたアンリツは評価され続けているのでしょうか。
「5Gが再び注目されているから」という説明では、どうも腑に落ちません。

実は、今のアンリツは“5Gブームの延長線”で評価されているわけではありません

市場が見ているのは、通信規格そのものではなく、
その先で静かに広がっている計測需要の変化です。

この記事では、アンリツの株価がなぜここまで評価されてきたのか
そして今、投資家が何を見ているのかを整理していきます。

5Gが「消えた」のではなく、当たり前の前提になった世界で、
アンリツがどんな立ち位置にいるのか
そこを読み解くことが、今の株価を理解する近道になります。

第1章|アンリツの株価は何が変わったのか

アンリツの株価は、数年前と比べて明らかに水準が切り上がっています。
かつて1300円前後で推移していた時期と比べると、現在は約2倍近い水準です。

この上昇は、短期間の材料による急騰ではなく、
時間をかけて徐々に積み上がってきた点が特徴です。

一方で、この間に5Gが再び大きな話題になったわけではありません。
スマートフォン向け通信の体感が、大きく変わった印象も乏しいでしょう。

それでも株価の評価は一段引き上げられています。
市場がアンリツを見る視点が変化している可能性があることは、
まず事実として押さえておきたいポイントです。

第2章|5Gブーム期のアンリツは「期待先行」で評価されていた

2019年から2020年にかけて、日本では5Gの商用サービスが始まりました。
「4Gの10倍速い」「自動運転や遠隔医療が実現する」といった言葉が並び、
5Gは次世代の成長テーマとして大きな注目を集めました。

この流れの中で、アンリツを含む5G関連とされる企業は、
将来の需要拡大を見込んで一斉に物色されます。
当時の評価は、実際の利用状況よりも
「5Gが本格化したときに恩恵を受けるかどうか」に重きが置かれていました。

アンリツも、5G対応の通信評価・測定機器を手がける企業として、
期待の対象となった一社です。
ただしこの時期は、5Gの利活用が具体的に広がっていたというより、
将来の可能性が先に織り込まれていた段階だったと言えます。

その後、実際に5Gを使ってみると、
エリアは限定的で、体感速度も想像ほどではありませんでした。
生活が劇的に変わるような場面は少なく、
スマートフォン向け5Gへの期待は次第に落ち着いていきます。

結果として、
「5Gが来れば成長する」というストーリーだけでは、
株価を押し上げ続ける力は弱まっていきました。

この時点で、
5Gをテーマにした期待先行の評価は、一巡したと見るのが自然でしょう。

第3章|今のアンリツが評価されている理由は「計測需要」にある

現在のアンリツが評価されている理由を、
5Gという言葉だけで説明するのは難しくなっています。
市場が注目しているのは、通信規格そのものではなく、
通信やデータ処理が高度化・複雑化する中で不可欠となる「計測」の役割です。

5Gは、もはや特別な技術ではありません。
通信インフラの前提条件として組み込まれ、
その上でデータ通信量は増え続けています。
データセンター、半導体、通信機器――
これらの分野では、高速化・高周波化・低遅延化が同時に進んでいます。

こうした環境では、
「正しく測れなければ、動かすことすらできない」
という状況が生まれます。
通信が複雑になればなるほど、
信号品質や性能を検証・評価する工程の重要性は高まります。

アンリツは、まさにこの領域を主戦場とする企業です。
通信評価・計測機器は、
新しい規格が登場するたびに必要となるだけでなく、
実際に運用が始まってからも、継続的な需要が発生します。

近年、5Gの利活用が進む中で、
こうした計測需要が着実に拡大しています。
四季報でも、
「5G利活用広がり計測が伸長」
といった表現が使われているのは、その象徴と言えるでしょう。

重要なのは、
この需要が「一時的なブーム」ではない点です。
通信やデータ処理の高度化が進む限り、
測定・評価の必要性は構造的に残り続けます。

そのため、現在のアンリツは
「5Gが来るから期待されている会社」ではなく、
「すでに使われている世界を支える裏方」として評価されている
と捉えるほうが実態に近いでしょう。

第4章|株価上昇は行き過ぎか?それとも妥当なのか

アンリツの株価は、この数年で大きく水準を切り上げました。
そのため、「すでに上がりすぎではないか」と感じる人がいるのも自然です。

まず押さえておきたいのは、
現在の株価が期待だけで買われている段階ではないという点です。
第3章で見た通り、評価の背景には計測需要の拡大という実需があります。
この点だけを見れば、株価上昇には一定の合理性があると言えます。

一方で、注意すべき点もあります。
アンリツの事業は、通信や半導体関連の設備投資動向と無縁ではありません。
設備投資は景気や投資サイクルの影響を受けやすく、
短期的には業績が伸び悩む局面が訪れる可能性もあります。

また、ここから先の株価を考える上では、
「期待が先に広がる局面」はすでに終わっている点も重要です。
今後は、新しいストーリーよりも、
決算を通じて成長が確認できるかどうかが重視されるフェーズに入っています。

つまり現在のアンリツは、
大きく割安と断言できる局面でもなければ、
明らかに行き過ぎと切り捨てる段階でもありません。

株価は、
・計測需要の成長がどこまで続くのか
・業績としてそれがどの程度数字に表れるのか
こうした点を確認しながら評価されていく状況にあります。

このように見ると、
今のアンリツは「テーマ株」として一方向に語れる存在ではなく、
業績と成長の持続性を見極めながら判断される銘柄になったと整理するのが適切でしょう。

第5章|ここから株価がもう一段上がる条件

アンリツの株価が、ここからさらに評価を切り上げるかどうかは、
いくつかの明確な条件に左右されます。
少なくとも、過去のように
「5Gというテーマだけで買われる局面」は戻ってきません。

まず一つ目の条件は、
新たな成長ドライバーが示されることです。
計測需要はすでに評価の前提となっているため、
市場が次に注目するのは、その先にどのような広がりがあるかです。
通信以外の分野での計測需要の拡大や、
技術進化に伴う新しい用途の具体化などが考えられます。

二つ目は、
決算を通じて成長の持続性が確認できることです。
受注や売上、利益の伸びが、
一過性ではなく継続的なものだと示されれば、
株価は改めて評価される余地があります。

ここで重要なのは、
アンリツがすでに「ファンダメンタルズを重視して評価される銘柄」になっている
という点です。
テーマ性や話題性で動く局面は過ぎ、
今後は業績や成長率、収益構造といった
中身が問われる段階に入っています。

逆に言えば、
目新しい材料が出てこない場合や、
決算で成長の鈍化が見えてくれば、
株価が横ばい、あるいは調整する局面も想定されます。

現在のアンリツは、
将来の夢を語られる銘柄から、
実際の成果を確認される銘柄へと移行しました。
ここから先の株価は、
期待よりも数字、
テーマよりもファンダメンタルズが判断材料になります。

したがって、
今後アンリツを見る際には、
短期的なニュースよりも、
決算や受注動向を丁寧に追う姿勢が重要になるでしょう。

まとめ|今のアンリツをどう見るか

5Gという言葉は、以前ほど聞かれなくなりました。
しかしそれは、5Gが失敗したからではなく、
通信インフラとして「当たり前の存在」になったという意味でもあります。

アンリツの株価が評価を切り上げてきた背景には、
5Gブームの延長ではなく、
通信やデータ処理が高度化する中で
計測需要が構造的に広がっていることがあります。

現在のアンリツは、
テーマ性や話題性で動く銘柄ではありません。
業績や成長の持続性といった
ファンダメンタルズで評価される段階に入っています。

ここから先の株価は、
新しい材料よりも、
決算を通じて何が確認できるかが重要になります。
短期的な期待ではなく、
中身を見ながら判断される銘柄だと言えるでしょう。

なお、本記事は、
2023年に執筆したアンリツに関する記事を、
現在の状況に合わせて全面的にリニューアルしたものです。

当時と今では見える景色が大きく変わりましたが、
その変化こそが、今回あらためて整理したかったポイントでもあります。

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