
「IPOは、公募で当選しなければ終わり」
もしあなたがそう思っているなら、相場に転がっている大きな「歪み」を見逃しているかもしれません。
2025年のIPO市場を振り返ると、
公募割れという厳しいスタートを強いられた銘柄は 10社 にのぼりました。
多くの投資家は、公募価格を割った瞬間に
「不人気株」というレッテルを貼り、視界から外してしまいます。
しかし私は、そこに一つの独自の経験則――
「公募価格への里帰りアノマリー」を見出しています。
※「公募価格」と「公開価格」の違いが曖昧な方は、
👉 公募価格と公開価格の違いを1分で整理 しておくと、この記事がスッと読めます。
驚くべきことに、2025年の公募割れ銘柄のうち、
約6割が一度は公募価格まで株価を戻しているのです。
つまり、
絶望の淵で投げられた株を拾う行為は、
統計的に「期待値の高い勝負」になり得るということです。
一方で、
いまだ浮上のきっかけを掴めず、
深い闇を漂い続けている 「遭難銘柄」 が存在するのも事実です。
その代表格が、
今まさに市場の注目(と不安)を集めている
ミラティブ(472A) です。
公募価格から約20%売り込まれている現在の株価は、
果たして絶好の買い場なのか。
それとも、私が「1分でわかるIPOシリーズ」で警告してきた
地雷を踏み抜く「終わりの始まり」なのか。
今回は、
2025年の公募割れ全10銘柄の検証データをもとに、
ミラティブ(472A)が再び「里」へ帰れる確率を冷徹に分析します。
①【独自考察:里帰りアノマリーとは何か】
ここでは、
私が投資判断の軸としている 「自己流のアノマリー」 について触れておきます。
私が注目しているのは、
IPOで公募割れスタートとなり、
その後一度も公募価格を上回っていない銘柄です。
経験上、こうした銘柄でも、
「1年以内」という時間軸で見れば、
かなりの確率で一度は公募価格を奪還する
――私はそう考えています。
もちろん、これはあくまで 「自分流」の経験則 に過ぎません。
しかし、市場に生じた歪みが修正される力は、
意外なほど強力です。
ただし、忘れてはならない注意点もあります。
「1年以上経過しても、公募価格を超えられない銘柄」
が、確実に存在するという事実です。
つまり、この戦略の成否を分けるのは、
「時間軸」と「銘柄選別」。
この2つを誤った瞬間、
里帰りアノマリーは 一切機能しなくなります。
② データが語る「里帰りアノマリー」の正体
まずは、
2025年に公募割れスタートとなったIPO銘柄の一覧を見てください。
※「里帰り」=一度でも公募価格を上回った銘柄
| 銘柄名(コード) | ステータス | 備考・「1分シリーズ」の視点 |
| ギミック (475A) | 里帰り成功 | 奪還済み |
| パワーエックス (485A) | 里帰り成功 | 奪還済み |
| インフキュリオン (438A) | 里帰り成功 | 奪還済み |
| サイプレス・H (428A) | 里帰り成功 | 奪還済み |
| プリモグローバル (367A) | 里帰り成功 | 奪還済み |
| IACEトラベル (343A) | 里帰り成功 | 奪還済み |
| ミラティブ (472A) | 遭難中 | VC比率が極めて高い |
| NSグループ (471A) | 遭難中 | 大型案件・需給の重さ |
| オーバーラップ (414A) | 遭難中 | 大型案件・吸収金額過大 |
| メディックス (331A) | 遭難中 | 業績懸念 |
ここで、
2025年のIPO市場全体を 少し引いた視点 で見てみましょう。
2025年に上場を果たした企業は、
約65銘柄(※概算)。
そのうち、
スタート地点でつまずき
「公募割れ」という厳しい門出となったのが 10銘柄 でした。
一般的には、
これらの銘柄は「不人気IPO」として敬遠されがちです。
しかし、
その後の値動きを追っていくと、
非常に興味深い 「相場の歪み」 が浮かび上がってきます。
【検証】2025年 公募割れ銘柄のその後
- 公募割れ総数: 10銘柄
- 公募価格を奪還(里帰り):6銘柄
- いまだ「遭難中」の銘柄(公募割れ状態): 4銘柄
このデータが示す
「里帰り率」は、約60%。
つまり――
公募価格を割って絶望視された銘柄でも、
適切なタイミングで拾えば、
3銘柄のうち2銘柄は「里」に帰ってくる
という計算になります。
里帰りを果たした「勝ち組」の共通点
公募価格の奪還に成功した6銘柄には、
いくつかの共通点が見られました。
- 上場直後の 需給の乱れ が一巡している
- 本来の 事業内容 が再評価されている
- 発行株数が比較的少なく、需給が軽い
短期的な「売り」に飲み込まれただけで、
企業としての本質的な実力を備えていれば、
市場は時間をかけて
その価値を 公募価格まで引き戻す のです。
依然として戻れない「4つの遭難銘柄」
しかし、
楽観は禁物です。
残る 4銘柄 は、
上場から一定の時間が経過しているにもかかわらず、
公募価格が 遥か彼方の高い壁 となっています。
この
「里帰りできない40%」 にこそ、
私たちが 絶対に避けるべきIPO投資の真の闇 が隠されています。
③ 深掘り:それでも里帰りできない「遭難4人衆」の正体
表が示した事実は、残酷です。
2025年の公募割れ銘柄 10社 のうち、
6社は「里帰り」 を果たしました。
その一方で、
残る 4社 は、
いまだ出口の見えないトンネルを彷徨っています。
ここからは、
なぜ彼らが 「戻れない40%」 に入ってしまったのか。
その 「遭難の理由」 を、
一社ずつ解剖していきます。
※ミラティブに限らず、
「株主構成(VC比率)」はIPO後の値動きを大きく左右します。
具体的にどこを見れば危険信号なのかは、
👉 1分でわかる株主構成比率でわかる要注意IPO銘柄 で整理しています。
1. ミラティブ(472A)
VCという「重力」に抗えるか
原因:VC(ベンチャーキャピタル)過多
上場からまだ 1か月。
しかし株価の上値には、
常に 「VCの売り」 が蓋をしています。
たとえ、
60%の銘柄が里帰りしている
というアノマリーの追い風があったとしても、
この VCの重力 は、それを簡単には許しません。
「いつ売られるかわからない」
この恐怖が、
新規の買いを躊躇させているのです。
2. NSグループ(471A)
巨大すぎた「期待」の反動
原因:吸収金額の大きさ・需給の重さ(第5弾)
2025年IPOの中でも、
屈指の 大型案件 でした。
しかし、公募割れしたことで、
市場には 「巨大なしこり」 が残りました。
里帰りするには、
莫大な 買いエネルギー が必要です。
ですが、
現在の市場に、そのパワーはありません。
船体が重すぎると、
一度波に飲まれた後、
浮き上がるのは極めて困難――
その典型例です。
3. オーバーラップ(414A)
出口の見えない「大型コンテンツのジレンマ」
原因:大型案件・需給のアンバランス(第5弾)
NSグループと同様、
吸収金額が大きすぎました。
加えて、
アニメ・出版といった
ヒット作依存の業態 であることも、
再評価を難しくしています。
公募割れ後の市場には、
慎重な空気が漂っています。
「大型の罠」は、
人気コンテンツをもってしても、
簡単には克服できない――
それが、この銘柄の現実です。
4. メディックス(331A)
破綻した「航海計画」
原因:業績への不信感(第4弾)
アノマリーは、
あくまで 「需給」 の話です。
しかし、
メディックスの場合は違います。
「業績」 という
船底に穴が空いている状態なのです。
投資家が、
「この会社、本当に大丈夫か?」
と疑っている間は、
里(公募価格)へ帰るための
エンジンは、決して掛かりません。
※余談ですが、
2月13日(金)に上場予定のTOブックス[ティーオーブックス](500A) は、
オーバーラップと非常によく似た事業形態をしています。
オーバーラップほどの大型案件ではありませんが、
「コンテンツ依存 × 上場時の需給」 という点では、
同じ試金石になる可能性があります。
上場後の値動きが、
この「大型コンテンツIPOの難しさ」を
再び市場に突きつけるのか――
個人的に注目しています。
④ 個別検証:ミラティブは「里」に帰れるのか?
現在、公募価格(860円)から約20%以上売り込まれているミラティブ。
しかし私は、この銘柄が「遭難4人衆」から抜け出し、里帰りを果たすための“強力な切札”を隠し持っていると見ています。
※2026年1月16日現在の株価686円
1. 理論を凌駕する「黒字転換」という劇薬
私が「1分シリーズ」で繰り返し述べてきた通り、VC過多の銘柄は需給が最悪です。
しかし、それを唯一無効化できる要素があります。
それが、
「圧倒的な業績改善」=黒字転換です。
ミラティブの2025年12月期通期予想は、
- 営業利益
- 経常利益
- 最終利益
すべてで黒字転換を見込んでいます。
2024年12月期の赤字から一転し、
同社はついに「稼ぐフェーズ」へ突入しようとしているのです。
2. 「稼ぎ方」の質が変わった
注目すべきは、単なる売上増ではありません。
ポイントは以下の2点です。
① 徹底したコスト圧縮
無駄を削ぎ落とし、筋肉質な経営体質へ脱皮。
この「利益率の向上を伴う黒字化」は、一過性の材料ではなく、
企業価値のベースラインを一段押し上げる変化です。
② 決済手数料の劇的改善
- 利益率の低い「アプリ内決済」
→ - 利益率の高い「Web決済」へシフト
これは構造的な改善であり、利益が残りやすいビジネスモデルへの転換を意味します。
3. 運命の「2026年2月13日」
カレンダーに印をつけておいてください。
2026年2月13日
ミラティブの決算発表予定日です。
ここで、
- 計画通りの黒字化
- 進捗の確実性
が証明されれば、
「VCの売り圧力」という重力
<
「黒字化した成長企業」を買い戻すエネルギー
この力関係が逆転する瞬間が訪れます。
こここそが、里帰りアノマリーが発動する最大のトリガー(引き金)です。
4. 【警告】決算が期待を裏切った時の「デス・スパイラル」
ただし、投資に「絶対」はありません。
もし2月13日の決算で、
- 黒字化が未達
- 進捗に明確な陰り
が見えた場合、ミラティブは
「里帰り」どころか「底なしの遭難」へ突き落とされます。
想定される最悪の連鎖は以下です。
① 期待の剥落
「黒字化」という唯一の希望が消え、
失望売りが一気に加速。
② 第2の時限爆弾:ロックアップ解除
上場から180日経過後、
VC(ベンチャーキャピタル)のロックアップ解除が控えています。
業績が伴わない状態での解除は、
VCによる“投げ売り”の引き金になりかねません。
「決算期待での買い」が
「VCの出口戦略」に利用される――
これこそが、ミラティブが辿る可能性のある、
もう一つの最悪シナリオです。
⑤ 【結論】ミラティブの公募割れは「買い」か?
結論:私の答えは「条件付きのYES」です。
「公募マイナス20%」という圧倒的アドバンテージ
私はミラティブの「里帰り」を信じています。
ただし、それは「公募価格で保有している人と同じリスクを背負う」という意味ではありません。
現在のミラティブ株価は、
公募価格から20%以上ディスカウントされた水準にあります。
ここで、立場の違いを整理します。
- 公募当選者の含み損:▲20%
- 今仕込む投資家の含み損:0%(ここがスタート地点)
この「20%の差」こそが、
私にとっての最大のアドバンテージです。
里帰り時のリターン構造
仮に株価が公募価格まで回復した場合、
- 公募当選者:ようやくトントン
- 今ここで仕込んだ投資家:+25%以上のリターン
これは単なる感覚ではなく、
数式で説明できる事実です。
1 ÷ 0.8 = 1.25(+25%)
「悲劇」は、立場が変われば「優位性」になる
「公募割れ」という事実は、
公募当選者にとっては紛れもない悲劇です。
しかし、後出しジャンケンで参戦する我々にとっては違います。
それは、
「期待値が引き上げられた状態での、有利なエントリー」
に他なりません。
だからこそ私は、
ミラティブの公募割れを――
条件付きで「買い」と判断するのです。
まとめ:自分流アノマリー・公募割れ銘柄との向き合い方
この記事で一番伝えたかったことは、
「ミラティブが上がるかどうか」ではありません。
私が注目しているのは、
- 公募割れで上場し
- その後、一度も公募価格を超えていない銘柄
という、市場から完全に見放されやすいゾーンです。
経験上、こうした銘柄の中には、
時間の経過とともに需給の歪みが修正され、
一度は公募価格へ“里帰り”するものが、想像以上に多いと感じています。
今回は、その代表例として
ミラティブに焦点を当てて検証したに過ぎません。
私はこの「自分流アノマリー」を信じているため、
短期の値動きに一喜一憂するつもりはありません。
保有期間は、原則1年。
その間に、
市場がこの銘柄をどう再評価するのか。
それを、静かに見届けるだけです。
公募割れは「失敗」ではなく、
時間と視点を変えれば、戦略になり得る。
この記事が、
公募割れ銘柄を見る目を少しだけ変える
きっかけになれば幸いです。

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