
株主優待をお得に受け取れる方法として知られている「優待クロス」
ほぼノーリスクで優待がもらえる一方で、
貸株料という見えにくいコストがかかるのも事実です。
多くの人は
「権利付き最終日にクロスできれば一番いい」
と考えがちですが、実はこの考え方自体が落とし穴。
実は、権利付き最終日の曜日次第では、
貸株料が通常より多く発生してしまうケースがあります。
さらにややこしいことに、
前日でも最終日でも、貸株料が変わらないケースがほとんどなのです。
この記事では、
✔ なぜ曜日によって貸株料が増えるのか
✔ なぜ「最終日狙い」が必ずしも正解ではないのか
を、初心者向けに図解レベルで解説していきます。
① 優待クロスには貸株料がかかる
優待クロスは、
株価変動リスクをほぼ抑えながら株主優待を受け取れる方法です。
ただし、「完全に無料」というわけではありません。
一般信用売りを使う場合、貸株料(品貸料)が発生します。
特に人気の優待銘柄では、
短期の一般信用を使うケースが多く、
この貸株料は無視できないコストになります。
そしてこの貸株料は、
クロスする「日」ではなく、
「受渡日ベース」で日数が決まる
という点が、今回の話の重要な前提です。
② 約定日ベースと受渡日ベースの違い
株取引には、よく混同されがちな
「約定日」と「受渡日」という2つの日付があります。
約定日
→ 注文が成立した日(売買が決まった日)
受渡日
→ 実際に株やお金のやり取りが行われる日
→ 約定日の2営業日後になるのが一般的です
ここで重要なのは、
優待クロスの貸株料は「約定日」ではなく
「受渡日」から発生する
という点です。
つまり、
いつクロスしたか
= 何日分の貸株料がかかるか
ではありません。
「受渡日から、いつまで株を借りていたか」
これが、貸株料の日数を決める基準になります。
この「受渡日ベース」という仕組みが、
貸株料の計算をややこしくしている原因です。
③ 貸株料は「いつから・いつまで」発生する?
株取引では、
注文が成立した日(約定日)と、
実際に株やお金の受け渡しが行われる日(受渡日)が異なります。
優待クロスの貸株料は、
約定日ではなく、受渡日から発生します。
このため、
受渡日から返却日までの期間に土日や祝日が含まれる場合でも、
その日数分の貸株料が発生します。
つまり、
- 市場が休みかどうか
- 取引できる日かどうか
は関係なく、
「株を借りている日数」が
貸株料の計算基準になる、というわけです。
④ 権利付き最終日は曜日で貸株料が違う?
結論から言うと、
権利付き最終日は「曜日」によって、貸株料の日数が変わります。
ポイントは、
クロスした日ではなく「受渡日ベース」で貸株料がカウントされる
というルールです。
このルールを前提にすると、
権利付き最終日の曜日ごとの貸株料は、次のように整理できます。
権利付き最終日の曜日別|貸株料の日数
| 権利付き最終日の曜日 | 貸株料の日数 |
|---|---|
| 月曜日 | 2日 |
| 火曜日 | 2日 |
| 水曜日 | 4日 |
| 木曜日 | 4日 |
| 金曜日 | 2日 |
※ 権利付き最終日にクロス取引をした場合にかかる貸株料の日数です。
なぜ水・木だけ「4日」になるのか?
理由はシンプルで、
受渡日が週末をまたぐからです。
- 貸株料は「株を借りている日数」で計算される
- 市場が休みの土日も「借りている日」としてカウントされる
- 水曜・木曜が権利付き最終日の月は、
受渡期間に土日が挟まりやすい
その結果、
貸株料が2日分ではなく、4日分発生する
という現象が起きます。
逆に、なぜ金曜日は「2日」で済むのか?
直感的には、
「金曜が最終日なら、土日をまたいで3日かかりそう」
と思いがちですが、これは誤解です。
金曜日が権利付き最終日の場合、
- 約定しても、貸株の受渡が始まるのは週明け(月曜日)
- 土日は「貸株期間のスタート前」
になるため、
土日の分はカウントされません。
その結果、
金曜日も月・火と同じく2日分で済むのです。
貸株料の計算方法や曜日による違いは理解できました。
次に、優待クロスで損するケースや、配当金・配当落ち調整金のからくりについて知っていますか?
詳しくはこちらで解説しています👇
【知らないと損する優待クロスの謎②】配当金で損するは本当?配当と配当落ち調整金の違い
⑤ 優待クロスは「権利付き最終日の前日が正解」って本当?
一般的に、優待クロスで貸株料を少なく済ませるには、
「権利付き最終日にクロスするのが一番いい」
と思われています。
ここで、ひとつ意外な事実があります。
実は、
優待クロスは「権利付き最終日」に行っても、
「前日」に行っても、
貸株料の日数は変わりません。
つまり、
支払う貸株料も変わらないのです。
なぜ前日でも最終日でも変わらないのか?
「1日早く注文したら、その分レンタル料が増えるのでは?」
と思いがちですが、ここが「株の精算ルール」の不思議なところです。
株の世界には
「注文した2営業日後に、実際のお金や株をやり取りする」
という独特のタイムラグがあります。
このラグがあるため、
注文を1日早めると「レンタルが始まる日」も1日早まりますが、
同時に「レンタルが終わる日」も1日早まります。
つまり、貸株の期間がまるごと1日分「前へスライド」するだけ。
期間の長さ(幅)そのものは変わらないので、払うコストも同じになるのです。
権利付き最終日がどの曜日かによって、
前日・当日いずれでクロスしても、
貸株料の日数は次のようになります。
| 権利付最終日の曜日 | 前日(1営業日)に約定 | 当日(最終日)に約定 | 貸株料の日数 |
| 月曜日 | 前週金曜 | 月曜 | 2日間 |
| 火曜日 | 月曜 | 火曜 | 2日間 |
| 水曜日 | 火曜 | 水曜 | 4日間 |
| 木曜日 | 水曜 | 木曜 | 4日間 |
| 金曜日 | 木曜 | 金曜 | 2日間 |
多くの人が「最終日」を狙ってクロス取引をするなか、
この事実を知っているだけで、
一般信用の在庫切れリスクを大きく減らすことができます。
⑥ まとめ|見るべきは「日付」ではなく「曜日」
この記事では、
【知らないと損する優待クロスの謎】
というテーマで、貸株料に焦点を当てて解説してきました。
優待クロスでは、
約定日ベースなのか、受渡日ベースなのかで混乱しがちですが、
貸株料は「受渡日ベース」でカウントされるという点を理解することが重要です。
この仕組みを知っていないと、
思わぬ貸株料を支払ってしまうことがあります。
なお、今回の話は優待クロスを例に説明しましたが、
一般信用取引や制度信用取引でも考え方は同じです。
水曜日・木曜日に信用取引を行うと、
貸株料(信用取引のコスト)が割高になりやすい点は、
ぜひ覚えておいてください。
受渡日と曜日の仕組みを理解するだけで、
無駄なコストを避け、より合理的な取引ができるようになります。



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