
国債は、満期まで保有すれば元本保証があり、銀行預金より高い利率が期待できるため「安全な投資」として知られています。
しかし実際には、中途換金(解約)した場合の扱いは国債の種類によって大きく異なります。
- ✅新窓販国債: 市場価格の変動による「元本割れ」のリスク
- ✅個人向け国債: 中途換金時の「利息差し引き(ペナルティ)」
が設けられています。
特に個人向け国債は「安心」新窓販国債は「リスク」と思われがちです。
それゆえ新窓販国債は「途中で売ると大きく損をするのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。
しかし実際には、新窓販国債は満期まで保有すれば固定利率を享受できる有利な商品であり、
中途換金であっても金利状況によってはキャピタルゲイン(値上がり益)が発生する可能性すらあります。
そこで本記事では、中途換金を前提にした場合、実際にどの程度の差が生じるのかを、具体的な数字を使って徹底的にシミュレーションしていきます。
この記事を読むと
・✅新窓販国債で「本当に損をする条件」
・✅逆に「得をする金利局面」
・✅個人向け国債との明確な使い分け
が、数字で理解できます。
なぜ新窓販国債はリスクがあると言われるのか?
新窓販国債が「リスクがある」と言われる最大の理由は、満期前に売却する際に市場価格(時価)で換金されるため、金利動向によっては元本割れする可能性があるからです。
もともとプロ(機関投資家)が取引するような通常の「利付国債」を、個人でも買いやすい仕組み(新型窓口販売方式)で提供しているのが「新窓販国債」です。
個人向け国債(変動10年など)のような「最低受取金額保証(中途換金制度)」がないことが、リスクの根幹となっています。
新窓販国債のリスクの高い中途換金とは?
「新窓販国債はリスクが高い」と一括りにされがちですが、実はいつ中途換金しても同じように危険なわけではありません。
リスクが顕在化するのは、特定の条件が重なった場合に限られます。
その条件とは、
① 金利の上昇
② 残存期間の長さ
の2つです。
金利の上昇とはどういう状態?
「金利の上昇」とは、自分が購入した国債の利率と比べて、市場金利が上がっている状態を指します。
例えば、第381回の利付国債を利率2.0%で購入したとします。
その後、第383回の利付国債の利率が2.8%になれば「金利上昇」、
逆に1.5%であれば「金利下落」と判断します。
つまり、自分が買った回を基準に金利が上がったか下がったかを見るのがポイントです。
シミュレーション|3年後に中途換金した場合
【新窓販国債のリスク計算式】
売却損の目安 = 100万円(投資額) ×(金利の差)×(残りの年数)
条件例
- 新窓販国債:10年債
- 利率:2.0%
- 投資金額:100万円
- 売却時の市場金利:2.8%(+0.8%)
- 売却時期:3年後(残存7年)
3年間で受け取った利息
100万円 × 2.0% × 3年 = 6万円
売却損の目安(価格下落分)
0.8% × 7年 × 100万円 = ▲5.6万円
トータル収支
6.0万円 − 5.6万円 = +0.4万円
👉 利息が売却損をほぼ相殺し、ギリギリプラスにとどまる結果となります。
※便宜上税金は計算していません。
【保存版】金利が0.8%上昇した時の売却ダメージ一覧
(条件:100万円投資・利率2.0%の10年債)
| 売却タイミング | もらった利息 | 売却損(0.8%×残存) | トータル損益 |
| 1年後(残り9年) | +2.0万円 | ▲7.2万円 | ▲5.2万円(元本割れ) |
| 3年後(残り7年) | +6.0万円 | ▲5.6万円 | +0.4万円 |
| 5年後(残り5年) | +10.0万円 | ▲4.0万円 | +6.0万円 |
| 9年後(残り1年) | +18.0万円 | ▲0.8万円 | +17.2万円 |
このように、新窓販国債は金利が上昇した状態で、残存期間が長いうちに中途換金すると元本割れのリスクが高まります。
逆に言えば、
- 満期が近づいてからの換金
- 金利幅が低下している局面
では、リスクは大きく低下します。
新窓販国債の中途換金でキャピタルゲインが発生する?
新窓販国債の本当の面白さは、「リスクの裏側にチャンスがある」点です。
それが、購入時よりも市場金利が低下した場合に発生する「キャピタルゲイン(値上がり益)」です。
先ほどと同じ条件で、今度は金利が下がったケースをシミュレーションしてみましょう。
シミュレーション:3年後に売却(市場金利 1.5%)
【条件】
- 新窓販国債:10年債
- 利率:2.0%
- 投資金額:100万円
- 売却時期:3年後(残存7年)
- 売却時の市場金利:1.5%(▲0.5%)
① 3年間でもらった利息
100万円 × 2.0% × 3年 = +6万円
② 売却益(キャピタルゲイン)の計算
5,000円(利率差0.5%) × 7年(残存期間) = +3.5万円
③ トータル収支
- 利息合計:+6.0万円
- 売却益:+3.5万円
合計:+9.5万円
100万円を投資し、3年で約10万円の利益。
実質的な年利回りは 3%超 となります。
満期まで保有すれば利回りは年2%ですが、
金利が低下した局面で中途換金することで、利益を「前倒し」で確定させることも可能なのです。
※ただし、これはあくまで「金利が低下した場合」に限った話であり、常にキャピタルゲインが得られるわけではありません。
【直接対決】新窓販 vs 個人向け!3年後に売却して得なのは?
同じ「5年固定・利率2.0%」の国債を、
金利が 2.5%に上昇した3年後 に売却すると、どのような差が出るのでしょうか。
実際に計算してみると、意外な結果になりました。
比較シミュレーション:新窓販vs個人向け国債
(100万円投資 / 3年後売却 / 市場金利 2.5%)
| 比較項目 | 新窓販国債(5年固定) | 個人向け国債(5年固定) |
| 3年間の利息(税引前) | +6.0万円 | +6.0万円 |
| 中途換金のルール | 市場価格(時価)で売却 | 国が額面で買い取り |
| ペナルティの計算 | ▲0.5% × 残り2年 = ▲1.0万円 | 直近2回分の利息 = ▲2.0万円 |
| トータル収支 | +5.0万円 | +4.0万円 |
この結果から見える「意外な真実」
① 金利上昇が「緩やか」なら新窓販国債が有利になることも
今回のように +0.5%程度の金利上昇 であれば、
新窓販国債の方が最終的に手元に残る金額は多くなりました。
- 個人向け国債:
👉 常に「1年分の利息(2回分)」が差し引かれる - 新窓販国債:
👉 「金利差 × 残存期間」
これが1年分の利息を下回るなら、新窓販国債の方が“軽傷”で済みます。
② 個人向け国債が「無敵」になるのは金利が激変したとき
もし金利が「2% → 4%」のように爆上がりした場合、新窓販は「▲2% × 2年 = ▲4万円」の売却損が出ますが、個人向けは変わらず「▲2万円」で済みます。
「どんなに世界が変わってもペナルティが一定」なのが個人向け国債の守備力です。
③ 結局、どっちを選ぶべきか?判断基準はここ
新窓販国債が向いている人
- 金利が急変する可能性は低いと考えている
- 金利低下による「値上がり益(キャピタルゲイン)」も狙いたい
- 満期まで持つ選択肢も現実的な人
個人向け国債が向いている人
- いつ解約するか分からない
- とにかく「元本割れ」という言葉を見たくない
- 利回りより安心感を最優先したい人
まとめ
「新窓販国債にはリスクがある」
これまで、そんなふうに刷り込まれてきた方も、この記事のシミュレーションを通して、少し印象が変わったのではないでしょうか。
新窓販国債のリスクの正体は、計算不能な「恐怖」ではありません。
それは、金利差と残り時間によって決まる、シンプルな“算数”に過ぎないのです。
- 満期まで持てば:高い固定利率を100%享受できる
- 3〜5年保有できれば:金利が上がっても、利息が売却損をカバーしてくれる
- 金利が下がれば:予定外の「ボーナス(キャピタルゲイン)」が得られることもある
僕自身は一人の投資家として、新窓販国債に大きな魅力を感じています。
満期保有を前提に考えれば、株で言うところの
「キャピタルゲインも狙えて、最後には元本が約束されている“超・安定型NISA”」
のような存在だと思っています。
そう考えると、少しワクワクしてきませんか(笑)。
もちろん、いつお金が必要になるかわからない不安がある場合は、
個人向け国債という選択肢が“正解”になる場面も多いでしょう。
大切なのは、誰かの「危ない」という言葉を鵜呑みにすることではなく、
自分で数字を確認し、自分に合った出口戦略を選ぶこと。
この記事が、あなたの資産運用を
より自由で、より納得感のあるものにする
ひとつの判断材料になれば幸いです。
「変動10年と固定5年、今はどちらが有利なのか?」
「金利上昇局面では、どの国債を選ぶべきか?」
と迷っている方は、こちらの記事も参考になります。


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