
「貯蓄から投資へ」という政策を背景に、新NISAが注目されてきました。
その一方で、日銀の利上げが進むなか、個人向け国債に改めて注目が集まっています。
「国債」と聞くと、あまり聞きなれないと感じる人も多いかもしれません。
性格としては、銀行預金と株式投資の中間に近い位置づけで、
国債も立派な投資商品のひとつです。
なかでも個人向け国債は、
満期まで保有すれば元本が保証されているという特徴があります。
「元本を減らしたくない」「まずは安全性を最優先したい」という方にとっては、
新NISAよりも適した選択肢になる場合があります。
この記事では、
「個人向け国債を初めて知った」「名前は聞いたことがあるけどよく分からない」
そんな人に向けて、仕組みから買い方までをわかりやすく整理します。
個人向け国債とは?まず押さえる基本の仕組み
個人向け国債とは、日本国政府が個人投資家からお金を借りるために発行する債券です。
いわば「国にお金を貸す代わりに、利子を受け取る仕組み」と考えると分かりやすいでしょう。
国が元本と利子の支払いを約束しているため、
満期まで保有すれば元本が保証されるという点が、最大の特徴です。
個人向け国債の基本の仕組み4つ
① 国が発行する(安全性が高い)
日本国政府が発行しており、
国が破綻しない限り、満期時に元本と利子が支払われます。
このため、投資商品のなかでも安全性は非常に高い部類に入ります。
② 1万円から購入できる
最低1万円から購入でき、
銀行や証券会社で毎月募集されています。
まとまった資金がなくても始めやすいのが特徴です。
③ 1年経過後は中途換金できる
購入から1年以内は原則として換金できませんが、
1年経過後はいつでも中途換金が可能です。
この場合、直前2回分の利子相当額が差し引かれますが、
元本割れはしません。
④ 最低金利0.05%が保証されている
金利がどれだけ下がっても、年率0.05%の最低金利が保証されています。
そのため、金利環境によっては定期預金より有利になるケースもあります。
👤ゼロ金利時代はこの最低金利0.05%保証が重宝されていたんですよね。
「元本を守りながら、預金より少しでも利息が欲しい」
という層に個人向け国債は選ばれてきました。
個人向け国債は3種類だけ|固定と変動の違い
個人向け国債の最大の違いは、
「金利が固定か変動か」と「満期までの期間」の2点です。
個人向け国債は3つの種類がある
①✅ 固定3年国債(固定金利・3年満期)
発行時に決まった金利が、満期まで変わりません。
数年以内に使う予定の資金を、手堅く運用したい人向けです。
②✅ 固定5年国債(固定金利・5年満期)
こちらも金利は満期まで固定。
3年では短いが、10年は長すぎるという人向けの中期商品です。
③✅ 変動10年国債(変動金利・10年満期)
半年ごとに金利が見直されます。
金利が上がる局面では利息も増えるため、長期運用向けの商品です。
👉
※どれも最低金利0.05%は共通で保証されています。
固定金利と変動金利の違い
| 特徴 | 固定(3年・5年) | 変動(10年) |
|---|---|---|
| 金利の動き | 満期まで変わらない | 半年ごとに見直し |
| 金利が上がったら | 不利(金利は上がらない) | 有利(利息が増える) |
| 金利が下がったら | 有利(高い金利を維持) | 不利(利息が減る) |
| 最低金利保証 | あり(0.05%) | あり(0.05%) |
| 向いている資金 | 3〜5年後に使う予定のお金 | 長期間使う予定のないお金 |
知らないと後悔する注意点とデメリット
個人向け国債は、
元本割れしにくい安全性の高い商品ですが、
どんな商品にも注意点はあります。
✅1年間は原則中途換金できない
個人向け国債は、
購入から1年間は原則として換金できません。
そのため、
近いうちに使う予定のあるお金には向きません。
✅中途換金時にペナルティがある
1年経過後は中途換金が可能ですが、
その場合、直前2回分の利子相当額が差し引かれます。
元本が減ることはありませんが、
満期まで持った場合より、受け取れる利息は少なくなります。
✅インフレリスク(資産の目減り)
物価の上昇が金利を上回ると、
お金の「実質的な価値」は増えていない、
という状態になることもあります。
✅NISA対象外
個人向け国債は、
NISA口座の対象外です。
利子には税金がかかる点も、
事前に知っておきたいポイントです。
個人向け国債と定期預金の違いは?
個人向け国債と定期預金は、どちらも元本割れしにくい安全性の高い金融商品です。
ただし性格は同じではなく、
- ✅誰にお金を預けるか
- ✅途中で引き出せるか
- ✅いくらまで安心して預けられるか
という点に、はっきりした違いがあります。
定期預金:銀行に預ける/金利は低め/いつでも解約可能
個人向け国債:国にお金を貸す/金利はやや高め/原則1年は換金不可
個人向け国債と定期預金の主な比較
| 比較項目 | 個人向け国債 | 定期預金 |
|---|---|---|
| 発行・保護主体 | 日本国(全額元本保証) | 金融機関(1,000万円まで保護) |
| 金利の傾向 | 比較的高め(最低0.05%保証) | 低め(ネット銀行は例外あり) |
| 金利のタイプ | 変動10年・固定5年・固定3年 | 基本は固定 |
| 利息受け取り | 半年に1回(年2回) | 原則満期時に一括 |
| 換金性 | 1年経過後から可(利子ペナルティあり) | 満期前解約可能(低金利適用) |
| 購入単位 | 1万円から | 1円〜(商品により異なる) |
どちらが向いている?結論
- 流動性を重視するお金
→ 定期預金(生活防衛資金・近いうちに使う予定の資金) - 当面使う予定がなく、1,000万円を超える資金
→ 個人向け国債(全額保証が魅力) - 金利上昇局面に備えたい場合
→ 変動10年の個人向け国債が有効
個人向け国債は「定期預金の完全な上位互換」ではありませんが、
定期預金では扱いにくくなる資金を安全に置く選択肢として、非常に相性の良い商品です。
個人向け国債はどんな人に向いている?
個人向け国債は、
「元本割れのリスクを避けつつ、銀行預金より有利に、堅実にお金を置いておきたい人」
に最も向いている金融商品です。
特に、次のような人には相性が良いと言えます。
① 生活防衛資金を安全に置いておきたい人
急な出費や収入減に備える生活防衛資金は、
増やすことより「減らさないこと」が最重要です。
個人向け国債は、
- ✅満期まで持てば元本保証
- ✅1年後からは中途換金も可能
という特徴があるため、
すぐに使う予定はないが、いざという時に取り崩せるお金の置き場所として適しています。
② 老後資金の一部を安定運用したい人
老後が近づくにつれ、
株式の価格変動リスクを取り続けるのは精神的にも負担になります。
個人向け国債は、
- ✅値動きを気にする必要がほぼない
- ✅定期的に利息が受け取れる
ため、
老後資金の一部を「安心枠」として確保したい人に向いています。
※全資産を国債にするのではなく、
あくまでポートフォリオの一部として使うのが現実的です。
③ 値動きに振り回されたくない人
株式や投資信託のように、
- ✅毎日の値動きを気にしたくない
- ✅相場ニュースで一喜一憂したくない
という人にとって、個人向け国債は非常にストレスの少ない選択肢です。
「買ったら、基本は放置」
これができるのが、個人向け国債の大きな強みです。
👉「国債全体を比較して、自分に合うタイプを選びたい人はこちら」
→ 【2026年版】失敗しない国債の選び方(総まとめ)
120万円:毎月10万円ずつの「国債サイクル」運用例
余剰資金120万円を1年間、
毎月10万円ずつ個人向け国債を買い続けると、
13か月目からあなたの口座には
「毎月利息が振り込まれる仕組み」が出来上がります。
① 1年後:毎月「利息」がチャリンと入る
個人向け国債の利息は、年2回(半年ごと)支払われます。
毎月買い続けることで購入月がずれていくため、
結果として
毎月どこかの国債から利息が振り込まれる状態が完成します。
例)
- 1月:1月・7月に買った分の利息
- 2月:2月・8月に買った分の利息
- 3月:3月・9月に買った分の利息
このサイクルが、その後もずっと続きます。
「大きく増える」わけではありませんが、
毎月チャリンと入る安心感と楽しみは増えますね。
② 金利上昇への“後悔しにくい”買い方
金利が上がる局面でありがちなのが、
一気に買った翌月に、さらに金利が上がった……
という後悔です。
毎月分けて購入すれば、
金利が上がった場合は翌月に買う分から、自然に高い金利が適用されます。
特に「変動10年国債」を選んでいれば、
- ✅すでに持っている分 → 半年ごとに金利が見直される
- ✅新しく買う分 → 最初から高い金利でスタート
という形で、
金利上昇の恩恵を段階的に取り込めるのが強みです。
③ 満期・解約時も「毎月お金が戻る」
この方法では、
満期(または中途換金)時も購入月ごとに分かれます。
つまり、
- 一気に120万円が戻る
ではなく - 毎月10万円ずつ、順番に戻ってくる
という形になります。
老後の生活費の補填や、
月々のキャッシュフローが必要な時期には、特に使いやすい設計です。
「一度に大金が戻ると、つい使ってしまいそう」
という人にとっても、自然な使いすぎ防止になります。
運用をさらに快適にするヒント
| 項目 | アドバイス |
| 商品選び | 基本は「変動10年」一択でOKです。今の金利上昇局面では、期間を長く取るほど柔軟性が増します。 |
| 購入の手間 | ネット証券なら、一度口座を作れば毎月の注文はスマホで1分程度で終わります。 |
| キャンペーン | 毎月10万円だと「購入キャンペーン(通常50万〜)」の対象外になることが多いですが、「利息の入り方の楽しさ」と「金利変動リスクの回避」という実利は、数千円のプレゼント以上の価値があります。 |
個人向け国債はどこで・どうやって買う?
国債にあまりなじみがない人は、
「そもそも、どこで買えるの?」「窓口に行かないとダメ?」
と感じるかもしれません。
実は、個人向け国債は意外と身近な場所で購入できます。
ここでは、購入先とそれぞれの特徴をわかりやすく整理します。
個人向け国債はどこで買える?
個人向け国債は、主に次の3か所で購入できます。
- 銀行
対面で相談しながら買える安心感があります。
ただし、手続きに時間がかかることもあります。 - 証券会社(ネット証券含む)
ネット完結で購入でき、残高管理もしやすいのが特徴。
初心者でも一番使いやすい選択肢です。 - ゆうちょ銀行(郵便局)
全国どこでも窓口があり、対面で買いたい人向け。
高齢の家族名義で購入する場合にもよく使われます。
👉 銀行や郵便局でもオンラインで簡単に申し込めるようになっています。
国債を買うには専用口座は必要?
結論から言うと、必要です。
個人向け国債を買うときは、
国債専用口座(国債振替口座)を開設します。
これは、
👉 国債を紙ではなく、電子的に管理するための口座
で、株を買うときに証券口座が必要なのと同じ仕組みです。
購入時に、
銀行・証券会社・ゆうちょで同時に自動作成されるのが一般的なので、
自分で何か手続きを意識する必要はほとんどありません。
通帳や証書は発行されないの?
個人向け国債を購入すると利息がつく頃に、
「取引報告書」や「取引残高報告書」 が、
・郵送
・または電磁的交付(ネット上での確認)
のいずれかで届きます。
以前は紙の「国債証書」が発行されていましたが、
現在はペーパーレス化されており、
証書の代わりに報告書で内容と残高を確認する仕組みになっています。
最初は窓口じゃないとダメ?
結論から言うと、必ずしも窓口に行く必要はありません。
ただし、状況によっては
最初だけ窓口対応が必要になるケースもあります。
窓口対応になるケース
基本的に、個人向け国債は
銀行や郵便局でも、専用口座の開設から購入までネットで完結できます。
ただし一部、
本人確認や利用条件の関係で
ネット手続きが完結せず、最初だけ窓口対応となるケースもあります。
実際、私も、ゆうちょアプリからの申し込みは窓口対応になってしまいました。
詳しくは、下記の記事で体験談としてまとめています。
よくある疑問Q&A
個人向け国債は「安全」と言われますが、
どうしても「国債」という聞き慣れない言葉に、抵抗を感じてしまいますよね。
ここでは、初心者が特に気にしやすい疑問を
Q&A形式でまとめました。
Q. 本当に元本割れしない?
原則として、元本割れはしません。
個人向け国債は、日本国が発行する国債で、
満期まで保有すれば、元本1万円につき1万円が必ず戻ります。
途中で売却せず、満期まで持てば、
利息と元本は、きちんと受け取れる仕組みです。
Q. 途中解約すると、いくら減る?
個人向け国債は、購入から1年経過後であれば中途換金が可能です。
ただし、解約時には
「直前2回分の利息相当額」が差し引かれます。
元本そのものが削られるわけではなく、
減るのは「もらえるはずだった利息の一部」だけです。
途中で使う可能性が高い資金であれば、
最初から 固定3年など短めの国債を選ぶ のも、ひとつの考え方です。
Q. 金利が上がったら損しない?
一括で買った直後に金利が上がると、
「もっと待てばよかった…」と感じることはあります。
ただし、
- 変動10年国債なら、半年ごとに金利が見直される
- 毎月・分割で購入すれば、金利上昇分を自然に取り込める
という仕組みがあります。
特に「変動10年+分散購入」は、
金利上昇局面でも後悔しにくい買い方です。
Q. 購入キャンペーンはある?
個人向け国債には、主に証券会社でキャッシュバックなどのキャンペーンがあります。
ただし多くの場合、
- 対象金額: 50万円以上など、まとまった金額が条件など
- 対象銘柄: 変動10年や固定5年が中心
というケースがほとんどです。
毎月コツコツ買う運用では対象外になることもありますが、
金利変動リスクを抑えられる安心感のほうが、長期的には価値が高いと感じる人も多いでしょう。
👤ちなみに、銀行や郵便局の窓口では
粗品がもらえたらラッキー、くらいに考えておくと気が楽です💦
まとめ|個人向け国債は個人のための国債
個人向け国債は、その名のとおり
個人が買いやすいように設計された国債です。
生活に身近な、
- ✅郵便局
- ✅銀行
- ✅証券会社(ネット含む)
で購入でき、
スマホやパソコンからでも手続きが完結します。
「固定3年・固定5年・変動10年で迷う…」という場合は、
郵便局や銀行の窓口で相談しながら決めるのも、まったく問題ありません。
最終的に、この記事で一番伝えたかったことは――
「国債」という言葉に、必要以上にビビらなくていいということです。
たとえば、
- 日経平均株価採用銘柄(日本を代表する225社)の平均配当利回りは
おおよそ 年1.7%前後 - 一方、個人向け国債の金利は
年1.5%前後(2026年2月現在)
こうして並べてみると、
「なぜ今、個人向け国債に注目が集まっているのか」も、自然と腑に落ちます。
大きく増やす商品ではありませんが、
減らさず、安心してお金を置いておく場所として、
個人向け国債は十分に“現実的な選択肢”です。
個人向け国債を理解した上で、
「もう少し仕組みを知りたい」「他の国債も比較したい」という方は、
こちらの記事も参考になります。




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