スピンオフIPOのメリットとデメリットを徹底解説

スピンオフIPOという言葉を聞いたことがありますか?

スピンオフIPOは、日本ではまだ珍しく、2020年3月に、コシダカホールディングスがカーブスホールディングスを新規上場させることで、日本初のスピンオフIPOが実現しました。

スピンオフIPOとは、いったいどういうものなのか、本記事では、スピンオフIPOのメリットとデメリットを徹底解説します。

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スピンオフIPOとは

スピンオフIPOとは、ある企業が運営している一部の事業を別会社として切り離し、その切り離した会社の株式を元の企業の株主に現物配当したうえで上場させることです。これにより、スピンオフ対象の事業はもともとの運営企業と資本関係のない独立した会社となります。

例えば、2020年1月27日、東証はコシダカホールディングス <2157> の日本初スピンオフIPOを承認しました。これにより、実施日の2020年3月2日にコシダカHDの株主は、コシダカHDと新規上場するカーブスホールディングス <7085> 両社の株主となったのです。

日本で次にスピンオフIPOを予定している企業は、シマダヤという製麺業の会社です。シマダヤはメルコホールディングスの完全子会社で、2024年度中にスピンオフIPOの申請を目指しています。

スピンオフIPOのメリット

スピンオフIPOのメリットは、親会社と子会社がそれぞれに特化した事業を展開できるようになることです。これにより、以下のような利点があります。

  • 経営効率の向上:親会社と子会社は、自分たちの事業に集中できるようになり、経営判断や戦略立案がスピーディーになります。また、親会社と子会社の間の競合や利害の衝突を避けることができます。例えば、コシダカホールディングスはカーブス事業をスピンオフすることで、カラオケ事業や温浴事業に注力できるようになりました。一方、カーブスホールディングスは、女性向けフィットネスクラブの国内外展開に専念できるようになりました。
  • 資金調達の容易化:子会社が上場することで、自らの事業内容や成長性を市場にアピールできるようになります。これにより、株式や債券などの資本市場を活用した資金調達がしやすくなります。また、親会社も子会社の株式を売却することで資金を得ることができます。例えば、シマダヤはスピンオフIPOを行うことで、製麺業界のリーディングカンパニーとして認知され、新商品開発や海外進出などの投資資金を確保できると見込んでいます。
  • 株価の上昇:親会社と子会社の事業内容や成長性が明確になり、投資家から正当な評価を受けやすくなり、株価が上昇する可能性があります。これは、「コングロマリット・ディスカウント」という現象が解消されるためです。コングロマリット・ディスカウントとは、複数の事業を運営している企業の株価が、各事業の合計価値よりも低く評価される現象です。これは、投資家が企業全体の事業内容や成長性を把握しにくいためです。スピンオフIPOを行うことで、例えば、コシダカホールディングスはカーブス事業をスピンオフすることで、「まねきねこ」ブランドのカラオケ事業や温浴事業の収益性や安定性が見直され、株価が上昇しました。

スピンオフIPOのデメリット

スピンオフIPOのデメリットは、親会社と子会社が別々の企業として運営されることによる弊害や課題です。これには、以下のようなものがあります。

  • 連携の低下:スピンオフIPOによって分離された事業部門は、親会社からの資金援助や経営支援がなくなり、自らの収益力で生き残らなければなりません。これは、分離された事業部門が不採算事業であった場合には特に困難です。不採算事業を切り離すことで親会社の収益性を改善することはできますが、子会社の収益化は容易ではありません。
  • 従業員のモチベーションの低下:スピンオフIPOによって分離された事業部門の従業員は、親会社からの支援や保護がなくなり、自立した経営を行わなければならなくなります。これにより、従業員のモチベーションが上がる場合もあれば、下がる場合もあります。モチベーションが下がる場合の要因としては、親会社との連携や交流が減ること、子会社の事業内容や将来性に不安を感じること、子会社の経営環境や待遇が悪化することなどが考えられます。
  • 市場の反応の不確実性:スピンオフIPOは、親会社と子会社がそれぞれ独立した企業として評価されることになります。これは、「シナジー効果」と「コングロマリット・ディスカウント」という二つの要因が消滅することを意味します。シナジー効果とは、親会社と子会社が一緒に事業を行うことで得られる相乗効果です。コングロマリット・ディスカウントとは、複数の事業を運営している企業の株価が、各事業の合計価値よりも低く評価される現象です。これらの要因が消滅することで、親会社と子会社の株価は上昇する可能性もあれば下落する可能性もあります。市場の反応は事前に予測することが難しく、実際にスピンオフIPOが行われてみないと分からないことも多いです。

まとめ

スピンオフIPOに興味がある投資家は、スピンオフIPOを行う企業の目的や効果を確認し、ステークホルダーのニーズや期待に応えられるかどうかを判断し情報を入手することが重要です。

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