
2025年前半の日本株市場では、「自社株買い」「防衛関連」「小型バリュー」という3つのテーマが投資家から注目を集めました。
特に、防衛費の増額や地政学リスクを背景とした防衛株、政府のPBR改革に伴う小型割安株の再評価、さらに過去最多ペースで進んだ自社株買いなど、株主還元と実需が交差する相場となっています。
本記事では、これらのトレンドを横断する「注目テーマ株10選」をランキング形式で総まとめ。
銘柄の選定基準や各社の特色に加え、今後の投資判断に活かせる視点も徹底解説します。
🏆【ランキング発表】2025年前半の注目テーマ株10選
ここからは、2025年前半の相場で特に注目を集めた「自社株買い × 防衛関連 × 小型バリュー」テーマに該当する銘柄を、ランキング形式でご紹介します。
スクリーニングの基準は以下の通りです。
📌 スクリーニング条件
- 2025年1月〜6月の自社株買い実績または発表がある
- 防衛関連、または小型バリュー(PBR1倍割れ・時価総額1,000億円未満)のテーマ性を持つ
- 継続性や割安感、還元姿勢など総合的に評価
🏅 テーマ株ランキング一覧表
ランク | 銘柄名 | テーマ | 自社株買い実績 | PBR(参考) | 一言コメント |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 三菱重工業(7011) | 防衛 | ✕ | 1.1倍 | 防衛・宇宙・原子力の三本柱。政府予算の追い風大 |
2位 | 東京計器(7721) | 防衛・小型 | △ | 0.9倍 | 小型防衛株の代表格。受注好調で再評価の波も |
3位 | コメリ(8218) | 小型・自社株買い | ◎ | 0.7倍 | 中期計画に自社株買い継続明記。堅実経営も評価 |
4位 | IHI(7013) | 防衛 | ✕ | 0.8倍 | 防衛・宇宙・インフラ。割安ながら底堅い業績 |
5位 | 八十二銀行(8359) | 地銀・還元 | ◎ | 0.5倍 | 地銀改革の本命格。毎年100億円規模の買戻し実施 |
6位 | チヨダ(8185) | 小型・還元 | ◎ | 0.6倍 | 業績改善中。還元重視+PBR超割安が光る |
7位 | リコー(7752) | 自社株買い | ◎ | 0.9倍 | 財務健全で大規模買戻し実績あり。設備更新進む |
8位 | ヤマダHD(9831) | 自社株買い | ◎ | 0.8倍 | 消費関連の代表格。還元姿勢が評価され株価も底堅い |
9位 | 川崎重工業(7012) | 防衛・重機 | △ | 1.0倍 | 多角化ビジネス。防衛×宇宙での注目度も上昇中 |
10位 | アイコム(6820) | 小型・還元 | ○ | 0.64倍 | 無借金経営・ニッチ無線技術に強みあり |
🔍 注目銘柄ピックアップ解説
🎯 1位:三菱重工業(7011)|防衛関連の大黒柱
日本の防衛・原子力・宇宙の3分野にまたがる巨大企業。
政府の防衛費増額(GDP比2%目標)により、防衛装備品の生産・整備で直接的恩恵を受ける。
株価は堅調に推移しつつもPER・PBR水準はまだ過熱感が薄く、中長期での成長期待が持てる。
🎯 3位:コメリ(8218)|地方密着+安定成長のバリュー株
地方型ホームセンター大手。2025年の中期経営計画では「継続的な自己株取得による資本効率改善」を掲げ、実際に自社株買いも実行中。
PBRは0.7倍と割安圏。小型株として機関投資家の注目も高まりつつある。
🎯10位:アイコム(6820)|ネットキャッシュ豊富な技術系小型株
特定小電力無線や業務用無線機などを展開する、通信機器専門メーカー。
無借金経営&自己資本比率70%以上、さらにPBR0.64倍という割安水準。
派手さはないが、地味で堅実な業績と高い財務健全性が評価されており、今後の還元強化にも期待。
🟦 なぜこの3テーマが注目されたのか?
まずは、それぞれのテーマが2025年前半にどのような背景や理由で注目されたのか、順に見ていきましょう。
🛡 防衛関連株|国防費増と地政学リスク
2025年前半の株式市場において、防衛関連株は高い注目を集めました。背景にあるのは、ウクライナや中東情勢などを含む地政学リスクの高まりと、それに伴う各国の国防予算の拡大です。
日本でも、防衛費をGDP比2%に引き上げる中期計画が進行中で、三菱重工業やIHI、東京計器などの企業が恩恵を受ける構造が明確になっています。特に、防衛装備品の製造・整備を手掛ける企業は、業績への貢献が分かりやすく現れやすいため、個人投資家からも注目されました。
また、株式市場全体が不安定な中でも、「国防」という明確な需要のあるテーマはディフェンシブ銘柄として資金が流入しやすい特性があります。
🏢 小型バリュー株|PBR改革と再評価の波
2023年から続く東証の「PBR 1倍割れ企業への改善要請」がきっかけとなり、低PBRの小型バリュー株が再評価される動きが加速しました。とくに、ネットキャッシュを多く抱える無借金企業や、事業は安定しているのに評価が放置されていた地方企業などが注目されました。
このような銘柄は、大型株と比べて機関投資家の資金が入りづらい一方、株主還元の強化やMBO(経営陣による自社買収)への期待もあり、思わぬ株価上昇を見せることもあります。
2025年前半は、TOPIXリバランスやテーマ循環などで地味な小型銘柄にも資金が回る地合いがあり、「バリュー×小型」という切り口でのスクリーニングが有効に機能しました。
💴 自社株買い|過去最多ペースで進む株主還元
2025年は日本企業による自社株買いの実施金額が過去最多ペースで推移。トヨタ自動車やソニーGなどの大手企業が積極的に自社株を買い戻し、株主還元の姿勢を示しています。
中でも注目されたのは、単なる短期的な株価対策ではなく、「資本効率改善」を目的にした中小型企業による戦略的な自社株買いです。これは、PBR1倍割れの改善要請にも直結しており、長期的に企業価値を高める施策として評価されやすくなっています。
自社株買いは、発表タイミング・実施規模・実行スピードによって株価インパクトが異なるため、個別企業ごとの動向を注視することが重要です。
🟥 投資前に知っておきたい注意点
これらのテーマ株にはそれぞれ特有の魅力がある一方で、投資にあたっては共通して押さえておきたいポイントも存在します。次に、注目テーマ株に投資する際に注意すべき重要な点について解説します。
⚠️ 小型株の値動きリスク
小型バリュー株や防衛関連の小型銘柄は、出来高が少なく値動きが激しくなることがあります。
短期間で急騰・急落が起こりやすいため、リスク管理が重要です。
長期投資を前提に、資金の分散と情報収集を欠かさないことをおすすめします。
⚠️ 自社株買いの持続性と効果
自社株買いは株価押し上げの効果がありますが、永遠に続くものではありません。
企業の財務状況や業績悪化により中止や縮小も起こりえます。
また、市場が既に自社株買いを織り込んでいる場合、発表直後の株価反応は限定的になることもあります。
⚠️ テーマ株の賞味期限と出口戦略
防衛関連や小型バリューなどテーマ株は、時勢により急速に資金流入・流出が起こる特徴があります。
市場全体の環境変化や政治・経済ニュースで大きく変動するため、タイミングを見誤らないことが肝心です。
明確な出口戦略を立て、利益確定や損切りルールを事前に決めておくと安心です。
📚 情報収集・投資準備におすすめのツール・証券口座
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これらの情報は市場動向を把握するうえで欠かせないため、積極的に活用し、アラート設定やチェックリストを作成するのがおすすめです。
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🏁 まとめ|2025年後半に向けてどう動くべきか?
2025年前半のテーマ株動向を振り返ると、「自社株買い」「防衛関連」「小型バリュー」という3つの軸が市場の注目を集めました。各テーマにはそれぞれ独自の背景とリスクがあり、短期的な値動きの激しさも見られましたが、中長期的な視点での投資判断が重要です。
特に後半戦では、世界情勢の変化や政府の政策動向に加え、企業の財務体質改善や株主還元姿勢の強化に注目が集まるでしょう。今回ご紹介した厳選10銘柄は、これらのテーマが重なり合う注目株として引き続き注視する価値があります。
最後に、テーマ株投資はトレンドを追うだけでなく、自分なりの出口戦略やリスク管理ルールを持つことが成功の鍵です。情報収集と分散投資を心がけながら、2025年後半の相場を乗り切っていきましょう。
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