
AIデータセンターの建設計画は、2024〜2025年着工された巨大プロジェクトの多くが、2026年前後にいよいよ完成・稼働開始を迎えます。期待先行のテーマ投資が「実需」に切り替わる歴史的な転換点が今なのです。
AIデータセンターの需要がいつまで続くかについては、短期的には2027年〜2030年まで爆発的な建設ラッシュが続き、その後は効率化と置き換えのフェーズに移行するという見方が有力です。
この拡大は、演算を担う半導体はもちろん、膨大な電力を支える配電設備や熱を逃がす冷却インフラまで、幅広い企業に恩恵をもたらします。
ここで注目すべきは、大型株だけではありません。
特定の工程で圧倒的なシェアを持つ「ニッチな強み」を備えたスタンダード市場の小型株からも目が離せません。
今回は、2026年のデータセンター本格稼働で「真の勝者」となり得る厳選3銘柄を紹介します。
第1章:2026年AIデータセンターの投資は第2フェーズへ
2026年、AIデータセンター投資は「とにかく土地を確保して建てる」という第1フェーズを越え、「電力確保・冷却効率・稼働率」を競う第2フェーズへと移行しています。
2024年〜2025年に着工した巨大プロジェクトが続々と竣工を迎えるなか、2026年現在の市場では「量から質へ」の構造変化が鮮明になっています。
1. 「電力確保」が勝者の絶対条件に
2026年の最大の変化は、既存の電力網(グリッド)への依存からの脱却です。
AI特化型データセンターのIT供給電力量は、今後2年で2.6倍に拡大すると予測されています。
電力不足は、もはや個別企業の問題ではなく、社会的な制約条件となりました。
その結果、評価されるのは建物そのものではありません。
「自前の受配電設備」や「高度な電力管理システム」を備えた施設こそが、最強の資産となりつつあります。
バーティブ(Vertiv)に代表されるような電力インフラ関連企業の重要性が、
不動産としてのデータセンターを上回り始めているのが現状です。
2. 「液冷(リキッドクーリング)」が標準仕様へ
NVIDIAの次世代チップ「Blackwell」が普及した2026年、
超高熱を発するサーバーを冷却する液冷(ダイレクト・ツー・チップ)は、新築施設では事実上の標準仕様となりました。
この流れは、新設だけにとどまりません。
空冷中心だった既存施設では、大規模改修(リノベーション)特需が一気に顕在化しています。
冷却装置や特殊配管など、特定工程に強みを持つニッチ企業の存在感が急速に高まっています。
3. 国内で動き出す「地方分散」の現実
東京・大阪のキャパシティが限界に達し、
2026年は北海道や九州がAIインフラの中核として本格的に立ち上がる年となりました。
- さくらインターネット(石狩)
政府支援を背景に、NVIDIAの最新GPUを大量配備したAI専用クラウドが本格稼働。 - ソフトバンク(苫小牧)
国内最大級となる北海道苫小牧AIデータセンターが、2026年度中の第1期開業に向け最終段階へ。
広大な土地と再生可能エネルギーを活用した
「地産地消型データセンター」が、構想ではなく実ビジネスとして動き始めています。
4. 投資家の目線は「期待」から「収益性」へ
第1フェーズのように、思惑だけで株価が動く時代は終わりました。
2026年以降は、
どれだけ効率的に利益を生み出せているかというROI(投資利益率)が、
これまで以上に厳しく評価されるフェーズに入っています。
この「質」が問われる第2フェーズにおいて、
独自技術で市場の隙間を埋める企業こそが、真の成長株となります。
第2章:AIデータセンターの「核」を担う注目3銘柄
2026年のデータセンター(DC)市場は、「量から質」へと明確に進化しています。
この構造変化を追い風に、特定工程で代替の効かないポジションを築く3社を深掘りします。
① ジーデップ・アドバンス(5885)
AIサーバーの「目利き」と「液冷」の先駆者
💡ニッチの正体
NVIDIA最上位パートナー × 技術コンサル型サーバー供給
AIサーバー供給の最前線に立つ同社は、単なる販売代理店ではありません。
顧客の用途に応じて最適なGPU構成や冷却方式を設計する、“目利き型”の存在です。
💡2026年の勝ち筋
次世代チップ「Blackwell」の普及により、AIサーバーでは液冷(リキッドクーリング)が必須条件となりました。
同社はいち早く液冷対応サーバーのカスタマイズ提供を開始しています。
2026年5月期の中間決算では、営業利益が前年比23.1%増。
データセンターのリプレース需要を着実に取り込んでいます。
💡注目ポイント
2026年からは、自社GPUクラウド「GX CLOUD」が本格稼働。
サーバーを「売る」だけでなく「貸す」ストック型ビジネスへの進化が、利益率をさらに押し上げています。
② AKIBAホールディングス(6840)
AIの“記憶”を支える高耐久メモリのニッチ王者
💡ニッチの正体
過酷なDC環境に耐える産業用メモリ
2026年には、世界で供給されるメモリの約7割がデータセンターで使用されるとの予測も出ています。
その中で、同社子会社「アドテック」の存在感が急速に高まっています。
💡2026年の勝ち筋
AIサーバーは、通常のサーバーと比べて数倍〜数十倍のメモリ容量を必要とします。
同社が手掛ける産業用メモリモジュールは、24時間365日の高負荷稼働に耐える信頼性が武器です。
汎用品が価格競争に陥る中、
「高付加価値・高単価」というニッチ市場で独走しています。
💡注目ポイント
2026年3月期第2四半期決算では、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)事業が牽引し、
経常利益は前年比138%増と爆発的な伸びを記録。
③ 木村工機(6231)
空調のニッチトップが挑む「DC熱地獄」の解消役
💡ニッチの正体
大型施設向けカスタム空調のスペシャリスト
AIサーバーが発する凄まじい熱をどう処理するか。
この根源的な課題に、同社は空調のオーダーメイドという立ち位置で応えています。
💡2026年の勝ち筋
2026年は、サーバー冷却に莫大な電力を要する
「空調電力問題」が本格的に顕在化しました。
同社の得意とする
- ✅潜熱・顕熱分離空調
- ✅高効率・省エネ型空調システム
は、データセンター運営コストを大きく下げるソリューションとして採用が加速しています。
💡注目ポイント
もともと工場やホールといった大空間向け空調に強みを持つ同社ですが、
その技術を高密度サーバー室へ転用。
2026年3月期は、DC向け案件の大型化により、
利益率が向上する「質の高い成長」を見せています。
【3社の立ち位置まとめ】
| 銘柄名(コード) | 市場区分 | 2026年の役割 | 強みの源泉 |
| ジーデップ (5885) | スタンダード | サーバー供給・液冷化 | NVIDIA最上位パートナー |
| AKIBA (6840) | スタンダード | 高耐久メモリ供給 | 産業用特化の技術力 |
| 木村工機 (6231) | スタンダード | 高効率空調システム | 独自省エネ技術による冷却 |
AIデータセンターの中核となるGPU市場では、
エヌビディアとの関係性が企業価値を左右する段階に入っています。
第3章:なぜ「スタンダード市場」の小型株が狙い目なのか?
AIデータセンター需要が、
「箱モノ(建物)」から「運用・効率」を競う第2フェーズ(2026年現在)へ移行するにつれ、
投資家の視線はスタンダード市場の小型・ニッチ株へと向かっています。
その理由は明確です。
「巨大企業が解決できない『細部』のボトルネックを解消する技術」を握っているからです。
1. 「熱」と「電力」のニッチ特需
NVIDIAのBlackwellに代表されるAIサーバーは、
従来とは次元の違う熱を発生させます。
もはや空冷だけでは対応できません。
ここで価値が急浮上するのが、
冷却・配電といった“目立たないが不可欠な技術”です。
💡液冷・精密配管技術
サーバーラック内に液体を循環させる特殊配管や、
液漏れを防ぐ精密な継手(つぎて)、特殊弁などの技術は、
建設費に占める割合は小さくても代替が効かない。
その結果、
売上規模以上に利益率が跳ねやすい構造になります。
💡空調のカスタマイズ性
木村工機(6231)のように、大手の汎用品では対応できない
「高密度・高負荷」空間を、独自の省エネ技術で制御できる企業に
評価が集まり始めています。
2. 「電力設備サプライチェーンの「末端」が生む価格決定権
変電所や大型受電設備の需要が急増し、
日立製作所や三菱電機といった大手メーカーの納期は
すでに数年先まで埋まる状況です。
このボトルネックが、
思わぬ場所に特需を生んでいます。
💡特注の配電・制御分野
データセンター専用の受配電盤や電源切替スイッチなど、
高度なカスタマイズが必要な分野では、
大手が受けきれない案件を小型メーカーが吸収。
結果として、
業績が一気に数倍へ跳ねるケースも珍しくありません。
💡供給網の要としてのニッチ
AKIBAホールディングス(6840)が手掛ける産業用メモリも同様です。
AIサーバーに特化した高耐久モデルという
「極めて狭いが、絶対に欠かせない枠」を押さえることで、
市況に左右されにくい収益基盤を築いています。
3. 時価総額の小ささが生む「株価の爆発力」
投資対象として最大の魅力は、
業績変化が株価に与えるインパクトの大きさです。
💡圧倒的なカタリスト効果
NVIDIAや大手ゼネコンは、数百億円規模の受注があっても
株価の反応は限定的です。
一方、
時価総額が数十億〜100億円規模のスタンダード市場株にとって、
データセンター特需による数億円の利益上乗せは、
EPSを急増させ、株価を大きく動かす起爆剤になります。
💡情報の非対称性
機関投資家が参入しづらい規模だからこそ、
個人投資家が決算書や事業内容から実需を読み解き、
情報の先回りをする余地が残されています。
2026年、AIデータセンター投資は「構造」を見抜けるかで差がつく
2026年のAIデータセンター市場は、
もはや「AIという言葉に期待する段階」ではありません。
建設ラッシュが実需として結実し、
電力・冷却・稼働率といった“運用の質”が企業価値を左右する第2フェーズに入りました。
この局面で重要なのは、
GPUや巨大データセンターといった“目立つ主役”ではなく、
それらを裏で支える、代替の効かない技術や工程です。
本記事で取り上げた3社は、
- ジーデップ・アドバンス
→ AIサーバーの目利きと液冷対応で「構成そのもの」を握る存在 - AKIBAホールディングス
→ AIの記憶を支える高耐久メモリという供給網の要 - 木村工機
→ DCの熱問題を解消する空調ニッチトップ
いずれも、
データセンターが「動き続ける限り必要とされるポジション」に立っています。
そして、これらの企業がスタンダード市場の小型株であることも重要です。
時価総額が小さいからこそ、
実需の積み上がりが業績 → EPS → 株価へと直結しやすい。
第2フェーズのAI投資で問われるのは、
「次に流行るテーマは何か」ではなく、
「どこが詰まっていて、誰がそこを解消しているのか」を見抜く視点です。
AIデータセンターは、一度建てて終わりではありません。
電力、冷却、設備更新を繰り返しながら、
今後も長期にわたって“金のかかるインフラ”として進化し続けます。
その構造を理解したとき、
スタンダード市場の小型・ニッチ株は、
単なるテーマ株ではなく――
息の長い成長を狙える「構造株」として見えてくるはずです。
AIデータセンターは“頭脳”を支えるインフラ。
その先でAIが現実世界に出ていく段階が、フィジカルAIです。




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