
下がった。
でも、売れなかった。
だから、
「平均取得単価を下げる」という理由で
買い増した。
その瞬間、
負けを認めなくて済んだ気がしたから。
今ならはっきり分かります。
あれは戦略じゃない。
ただの現実逃避でした。
この記事では、
株初心者が必ず一度は信じてしまう
「下がったら買い増し」という考え方が、
なぜ泥沼になりやすいのかを、
自分の失敗から整理します。
① 下がった瞬間、なぜ「買い増し」が頭に浮かぶのか
株価が下がったとき、
まず見たくなくなるのが、含み損の数字です。
赤い数字を見るたびに、
「自分の判断が間違っていた」
そう突きつけられている気がする。
だから、売れない。
損切り=失敗
そう思っているうちは、
売るという選択肢は、
頭の中から真っ先に消えます。
そこで出てくるのが、
「まだ確定していない」という言い訳。
含み損は、あくまで“途中経過”。
売らなければ、
まだ負けじゃない――
そう思える余地が残るからです。
ここで、思考はこうすり替わります👇
👉 売る=負けを認める
👉 買い増し=まだ戦っている
買い増すことで、
「何か判断した」
「ちゃんと向き合っている」
そんな感覚だけは手に入る。
初心者ほど、
何もしない不安に耐えられません。
「様子を見る」より、
「何か動いた自分」のほうが、
安心できてしまう。
だから、
本当は一番冷静でいるべき瞬間に、
一番感情的な行動を選んでしまう。
それが、
「下がったら買い増し」が
自然に頭に浮かぶ正体です。
② 「平均取得単価を下げる」という、いちばん都合のいい言い訳
買い増しをするとき、
初心者の頭の中には、
必ずこの言葉が浮かびます。
「平均取得単価を下げればいい」
一見すると、
とても冷静で、合理的な判断に見える。
実際、計算上は正しい。
下がったところで買い増せば、
平均の買値は確かに下がる。
だからこそ、この言葉は厄介です。
本当は感情で動いているのに、
“理屈で正当化できてしまう”。
・高値づかみじゃなくなる
・少し戻ればプラスになる
・次は助かるかもしれない
そう考えた瞬間、
さっきまで感じていた
「間違えたかもしれない」という痛みが、
一気に薄れる。
でも、ここで一つ、
決定的に見落としていることがあります。
それは、
「なぜ下がったのか」を一切見ていないこと。
✅トレンドが崩れたのか
✅材料が否定されたのか
✅需給が悪化したのか
理由は何も変わっていない。
変えたのは、
自分の気持ちだけ。
それなのに、
「平均取得単価」という言葉を使うと、
まるで状況をコントロールしている気になれる。
でも実態は、こうです。
👉 価格が下がった理由は放置
👉 自分のポジションだけを守ろうとしている
これは戦略じゃありません。
ただの感情処理です。
そして、この思考に入ると、
次の一手はほぼ決まっています。
まだ下がる
→ もう一回買い増す
→ さらに平均を下げる
気づけば、
最初は軽かったポジションが、
いつの間にか一番重い荷物になる。
「ここまで来たら、もう売れない」
そう思った時点で、
選択肢はほぼ消えています。
平均取得単価を下げる――
それは、
現実を直視しないための、
いちばん頭のいい言い訳でした。
③ 買い増しが“現実逃避”に変わる3つのサイン
最初は、
「計画的な買い増し」のつもりだった。
でも、いつの間にか、
それは戦略じゃなく、感情の延命に変わっていく。
その境目は、
だいたいこの3つのサインで分かります。
サイン① 「下がった理由」を調べなくなる
株価が下がったとき、
本来見るべきなのは、価格じゃない。
・材料は何か
・トレンドは壊れていないか
・需給はどうなっているか
でもナンピンに入った途端、
それを見なくなる。
見るのは、
「どこまで下がったか」
「そろそろ反発しそうか」
理由より、値段。
背景より、チャートの形。
この時点で、
判断軸は完全にズレています。
サイン② 資金管理が静かに崩れていく
最初は、
「少しだけ買い増し」のつもり。
でも、
下がる → 買う
下がる → もう一回買う
を繰り返すうちに、
気づくとこうなっている。
その銘柄だけ、
ポートフォリオの中で異常に重い。
本来なら、
一番リスクが高いはずの銘柄に、
一番お金を突っ込んでいる。
これはもう、
冷静な配分じゃありません。
サイン③ 「ここまで来たら…」が口癖になる
一番危険なのが、これです。
「ここまで下がったんだから」
「ここまで耐えたんだから」
この言葉が出始めたら、
判断基準は完全に感情にすり替わっています。
相場にとって、
あなたがどこで買ったかは関係ない。
でもこの状態になると、
過去の自分を守ることが
最優先になってしまう。
この3つが揃ったとき、
買い増しはもう戦略じゃない。
「負けを認めたくない自分」を
延命させているだけです。
だから、
ナンピンは怖い。
下手だから失敗するんじゃない。
“正しい判断をやめてしまう”構造が、
最初から組み込まれているからです。
④ ナンピンという名の「中毒」と、その代償
下がった株。
まだ損は確定していない。
そう信じたい気持ちで、つい買い増ししてしまう――。
これ、投資家なら誰でも一度は経験するはずです。
でも、初心者がナンピンをすると、気づいたら資金も判断力も削られていることがほとんど。
ここで言葉をはっきりさせます。
この「下がったら買い増し」
一般的には ナンピン と呼ばれます。
「難を平らにする」 もともとは江戸時代から続く、戦略的な言葉。 でも、当時の僕がやっていたのは、戦略ではありません。 ただの 「ナンピン中毒」 でした。
ナンピンの“危険な3つの結果”
覚えがありますか?
- 「もう少し下がったら…」が口癖になっている
- 気づけば同じ銘柄に資金を集中させている
- 株価の下落理由を調べず、ただチャートだけ見て判断している
この状態は、ナンピンが現実逃避に変わったサインです。
そして、その結果は3つに集約されます。
1️⃣ 資金が減る
ちょっとずつ買い増すつもりでも、下がり続けると予算オーバー。
気づけば「助かるかどうか」だけを祈る状態に。
投資じゃなく、ただの待機です。
2️⃣ 逃げ場がなくなる
銘柄にお金を集中させすぎて、損切りも怖くなる。
冷静な判断はどこへやら、ただ損を先送りするだけの時間稼ぎになってしまう。
3️⃣ 他のチャンスを見れなくなる
資金も気持ちも一つの銘柄に縛られ、ほかの有望株をチェックする余裕がなくなる。
相場全体を見渡せず、「次の一手」を考える力も鈍ってしまう。
僕も初心者の頃、これで何度も泥沼にハマりました。
「平均取得単価を下げる」という魔法の言葉に騙され、
気づけば資金も判断力もズタズタ。
ナンピンは、感情に流されると単なる負けの先送りにしかなりません。
でも、一つだけ救いがあります👇
「あ、自分もやっちゃってるかも…」
そう気づけた瞬間、すでに一段階、成長しているんです。
⑤ 例外はある?それでも初心者が避けるべき理由
正直に言います。
ナンピンにも、例外的にうまくいく場面はあります。
- 長期投資でシナリオが崩れていない
- 資金に余裕がある
- 下落理由が明確で、チャンスと割り切れる
こういう条件なら、買い増しは戦略になり得ます。
でも――
初心者の買い増しは、ほぼこの条件を満たしていません。
- 下がった理由を調べず、ただチャートだけを見ている
- 気づけば一銘柄に資金を集中させている
- 「まだ大丈夫」と願望で判断してしまう
思い当たる節があれば、要注意です。
それ、すでに泥沼の入り口に立っているサインです。
「自分は例外かも」という思考ほど危険なものはない
初心者ほど、ついこう考えます。
「自分は大丈夫。長期目線だし…」
「資金も余裕があるから、少しくらいなら…」
でも、その瞬間が一番危ない。
例外的にうまくいくケースは、条件を満たしたうえで、冷静に計画的にやった場合だけです。
初心者が直感や感情でやる買い増しは、例外どころか資金も判断力も削る罠にしかなりません。
覚えておきたいポイント
条件を満たさない買い増しは、感情に流されるだけの現実逃避時点で、
一番危ない。
ナンピンは例外的に戦略になり得るが、初心者にはほぼ当てはまらない
「自分は例外かも」と思った瞬間が危険の入り口
⑥ 下がったとき、本当にやるべき行動
株価が下がった瞬間、頭に浮かぶのはたいてい――
「もう少し下がったら買い増そう」
でも、それは反射的な感情です。
投資家としてやるべきは、もっとシンプルです。選択肢は3つだけ。
① 何もしない
下がっても、焦らず待つ。
市場は常に動きます。今はただ、状況を整理する時間です。
② 損切りする
間違えたと認める勇気。
損切りは「負け」じゃなく、次に勝つための判断です。
③ シナリオを見直す
下落の理由を確認し、戦略を修正する。
材料・トレンド・需給。数字や背景をきちんとチェックして、次の一手を考えます。
ここで一番大事なのは👇
👉 買い増す理由を“文章で説明できるか”
頭の中で「なんとなく下がったから…」では、ただの反応です。
書き出して説明できなければ、それは戦略ではなく現実逃避です。
文章にすることで、自分の判断が感情か戦略か、はっきり区別できます。
✅ 今日からできる簡単チェック
- 下がったとき、心に浮かんだ「買い増し理由」を1行で書いてみる。
- 書けなければ、買わない。
- 書ければ、戦略かどうか再確認する。
まとめ(初心者の頃に勘違いしていたこと)
「平均取得単価を下げる」
この言葉は、
とても賢そうで、
とても危険でした。
下がった理由を見ず、
感情だけで買い増す。
それは戦略じゃない。
負けを先送りしているだけ。
株で一番大切なのは、
当てることじゃない。
間違えたときに、
どう動けるか。
この感覚に気づけたら、
もう一段階、前に進んでいます。
👉「初心者の頃に勘違いしていたこと」シリーズ一覧
👇ここからは、同じように
初心者の頃に勘違いしていた話をまとめています👇
- 第1回:なぜ損切りは「負け」に見えるのか?
- 第2回:株は毎日売買しないとダメだと思ってた話
- 第3回:「下がったら買い増し(ナンピン)」という名の現実逃避
- 第4回:含み益は「もう儲かった気分」で、利確を逃し続けた話(公開予定)
- 第5回:「優待があるから損してない」という自分への言い訳(公開予定)
- 第6回:雑誌の「爆上げ推奨株」を信じて、自分の頭を捨てた末路(公開予定)
※どれも、初心者の頃の自分が
本気で信じていたことです。


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