
雑誌で「爆上げ推奨銘柄」と書かれていた株を、
迷わず買った。
理由はシンプル。
みんなが言っていたから。
でも、買った直後から株価は下がり続けた。
「たまたまだろ」
「まだこれからだ」
そう思っているうちに、
気づけば“自分で考える”ことをやめていた。
なぜ人は「爆上げ推奨」を信じてしまうのか
結論から言うと、
それは判断力がないからではありません。
むしろ逆です。
株を始めたばかりの頃ほど、
人は真剣に考えようとしている。
だからこそ、
「正解」を探してしまう。
株を始めた直後って、
画面には知らない言葉が並びます。
PER、PBR、EPS、テクニカル、ファンダメンタル…。
正直、全部わからない。
そんな状態で見るのが、
- 「専門誌が厳選」
- 「プロが選んだ注目銘柄」
- 「今が仕込みどき」
こういう言葉です。
これ、初心者にとっては
救いの手に見える。
しかも「爆上げ推奨」には、
ある特徴があります。
- 断言している
- 期限がある
- 乗り遅れ不安を煽る
「まだ間に合う」
「次の材料で一気に」
この言葉が出た瞬間、
人の脳はこう考えます。
考えなくていいなら、楽だな。
ここで一番危ないのは、
自分で判断していない自覚がないこと。
「雑誌を読んだ」
「ちゃんと理由を確認した」
「情報を集めた」
そう思っていても、
実際にやっているのは──
判断を“委託”しているだけ。
さらに厄介なのは、
初心者ほど責任を取りたいと思っている点。
- 勢いで買ったと思われたくない
- 勉強している感が欲しい
- 失敗を避けたい
だから、
「ちゃんとした情報を信じた」
という形を選ぶ。
でもこれ、
自分で決めた気になれるだけなんです。
そして、もう一つ。
爆上げ推奨を出している側と、
それを信じて買う側では、
ゴールがまったく違う。
- 向こうは「紹介すること」がゴール
- こっちは「儲けて降りること」がゴール
時間軸も、資金量も、
出口戦略も違う。
同じ銘柄でも、
別のゲームをしています。
だからこうなる。
「言われた通りに買ったのに下がる」
「なぜ自分だけ?」
「今回はたまたま?」
違います。
最初から、
判断の主導権を持っていなかっただけ。
初心者が「爆上げ推奨」を信じてしまうのは、
弱いからじゃありません。
不安な状態で、
“答えをくれる言葉”に出会ってしまっただけ。
でもその瞬間、
投資はもう──
「自分のもの」じゃなくなっていました。
推奨株が当たらない“構造的な理由”
まず大前提として、
「推奨株=嘘」ではありません。
当たることも、もちろんあります。
でも問題はそこじゃない。
“当たる・外れる以前に、成立していない”
ケースが圧倒的に多いんです。
理由① 推奨する側と、買う側の「ゴール」が違う
推奨している人のゴールは、
多くの場合こうです。
- 記事を読ませる
- 注目を集める
- 話題を作る
一方、買う側のゴールは?
- 利益を出して
- どこかで売って
- 現金に戻すこと
ここが、最初から噛み合っていない。
推奨した人は
「上がりそう」と言っただけ。
でも買った人は
「どこで売ればいいか」まで背負う。
この時点で、
責任の重さが違います。
理由② 「いつまで持つか」が誰にも決められていない
推奨記事には、
ほぼ必ずこう書いてあります。
- 中長期で期待
- 今後に注目
- 成長余地あり
でも、
- 1週間?
- 3か月?
- 1年?
時間軸が存在しない。
時間軸が決まっていない投資は、
「当たった・外れた」の判定すらできません。
そして時間軸がないまま下がると、
初心者はこう思います。
もう少し待てば戻るかも
これが、
次の失敗への入口になります。
理由③ 「想定外」が起きたときの行動が用意されていない
本当に致命的なのが、ここ。
推奨株には
“うまくいかなかった場合の話”がない。
- 下がったらどうするのか
- 材料が出なかったらどうするのか
- 相場全体が崩れたらどうするのか
この3つが書いてある推奨記事、
ほとんど見たことがありません。
でも実際の相場では、
想定外のほうが普通。
想定外が起きた瞬間、
初心者は一人で立たされます。
理由④ 「その人は、もう買っている」可能性が高い
これ、かなり重要です。
推奨している側は、
すでにその株を持っていることが多い。
つまり、
- 推奨する人 → 有利な位置
- 読んで買う人 → 後から参加
同じ銘柄でも、
スタート地点が違う。
その差は、
下がったときに一気に効いてきます。
理由⑤ 「自分の条件」に合っているかが無視される
推奨株は、
平均的な誰かに向けて書かれています。
でも現実の投資家は、
- 資金量が違う
- リスク許容度が違う
- 含み損に耐えられる時間が違う
あなたの条件に合わない株は、
良い株でも「悪手」になります。
ここが理解できていないと、
何度でも同じ失敗を繰り返す。
この章のまとめ:推奨株は「情報」だが、「判断」ではない
推奨株が当たらない最大の理由は、
銘柄選びの問題ではありません。
- ゴールが違う
- 時間軸がない
- 想定外への対応がない
- 立場が違う
- 条件が違う
このズレを抱えたまま買うから、苦しくなる。
推奨株は、
あくまで「材料の一つ」。
それを
“自分の判断”に変換できなければ、
投資は再現しません。
判断を委ねた結果、何が起きたのか
正直に言います。
あのときの自分は、
株で失敗したというより、思考を放棄していました。
「雑誌が言ってた」
「専門家が選んでた」
「みんな注目してる」
それだけで、
自分が買った理由を説明できた気になっていた。
株価が下がり始めたときも、
すぐには疑いませんでした。
プロが言ってたんだから
そのうち戻るはずだ
ここが、一番危ない瞬間です。
自分の判断じゃないから、
修正もできない。
- どこで切るか決めていない
- どこまで待つかも決めていない
- 上がったらどうするかも決めていない
ただ、
「誰かの予想」が崩れるのを
祈るだけ。
この「判断停止」が続いた先で、
現実に起きるのが「追証(追加の入金要求)」です。
追証とは何か?
本当に資金が0円になるのか?
強制決済はいつ起きるのか?
※「やらかしたかも…」と感じた人ほど、
先に全体像だけでも知っておくと冷静になれます。
結果として起きたのは、
よくあるパターンでした。
- 含み損を見ないようにする
- 株価を見る回数が減る
- 「長期だから」と言い訳をする
でもこれ、
長期投資でもなんでもない。
判断停止です。
失敗を振り返って気づいた共通点
ここで、
初心者の頃にやってきた失敗を
振り返ってみてください。
- 損切りを「負け」だと思って逃げた
- 毎日売買しないと不安になった
- 下がるたびにナンピンした
- 含み益で満足して利確できなかった
- 優待や配当で現実から目を背けた
- 配当の仕組みすら誤解していた
これ、
全部バラバラの失敗に見えますが、
根っこは一つです。
共通点は「自分の判断基準がなかった」こと
- どこで買うか
- どこで売るか
- どこで間違いだと認めるか
この3つを、
自分で決めていなかった。
だから、
- 誰かの言葉に揺れる
- 株価の動きに振り回される
- 失敗しても原因が分からない
再現性がゼロになります。
逆に言えば、
ここさえ変われば、
投資は一気に楽になります。
信じるべきは「人」じゃない
ここまで読んで、
こう思ったかもしれません。
じゃあ、誰の話も聞くなってこと?
違います。
信じる対象を、
間違えていただけです。
信じるべきなのは、
- 「誰が言ったか」ではなく
- 「どんな前提か」
- 「どんな条件で崩れるか」
つまり、
人ではなく、シナリオ。
たとえば、
- 想定と違ったら、どうするか
- 何%下がったら、間違いと認めるか
- どの材料が否定されたら撤退するか
これを先に決めておく。
そうすれば、
他人の意見はヒントにはなっても、
命令にはなりません。
結論:投資が楽になった、たった一つの考え方
初心者の頃、
僕はずっと「正解」を探していました。
でも、
相場に用意されているのは
正解じゃない。
選択と結果だけです。
- 自分で決めたなら、修正できる
- 人に委ねたなら、祈るしかない
この違いは、
あとから効いてきます。
「初心者の頃に勘違いしていたこと」シリーズ一覧
👇ここからは、同じように
初心者の頃に勘違いしていた話をまとめています👇
第1回:なぜ損切りは「負け」に見えるのか?
第2回:株は毎日売買しないとダメだと思ってた話
第3回:「下がったら買い増し(ナンピン)」という名の現実逃避
第4回:含み益は「もう儲かった気分」で、利確を逃し続けた話
第5回:「優待があるから損してない」という自分への言い訳
第6回:配当は同じじゃなかった― 現物と信用で、もらえるお金が違うと知らなかった話
第7回 : 雑誌の「爆上げ推奨株」を信じて買ったら下がった話
※どの記事も、当時の僕が『これさえ知っていれば…』と後悔したことばかりです。まずは第1回の『損切り』の話から読んでみると、今のモヤモヤが晴れるかもしれません。



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